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果たされない約束の話。

約束は叶ってこそと思っていた。
双方が約束のことを覚えていて、それがいつか叶って、ハッピーエンドみたいな。また次の約束をするでもいいし、しないでもいいんだけど、一旦そこで区切りをつけて、きっちりしめる。
だから果たされない約束はかなしいし、せつない。自分だけが覚えているっていうのも、なんかいやだな。片思いみたいだ。
だから好きじゃなかった。

大好きなアイドルグループは、どうやら叶えられない約束はしない主義らしかった。
ライブの最後にあの曲を歌ったから、きっと次がある。あの曲は、またすぐに会える未来を歌っているから。そういう約束の歌。
おまじないみたいなそれは、さらに関係を歪にするようだけれど、叶うって信じていれば煌めいてみえる。
そして大抵は次がちゃんとあったと思う。今までは。

けれどすっかり世界は変わり続けていて、世界のせいなのか別に原因があるのか、まぁこんなの複合的なものだから両方に決まっている。
信じていた約束が叶う日は全然訪れない。
忘れているわけじゃないと思う。いくら歪な関係だからって、それくらいはわかる。お互いの思いとか、それだけじゃどうにもならないことがあるのも、わかる。
叶ってほしい、次が来るのを今か今かと待ち構えている。そろそろかなぁと思うのに、やっぱりまだ約束は叶わない。果たされない。
そしてまた新たな原因が生まれて、それに気付いてしまったから未来の遠さを知る。
次ってないのかな、ってちょっと思ったりもするけど、諦めるわけにはいかない。わたしが信じなくなったら、約束ごとなくなっちゃう気がする。そうはさせない。
強い気持ちで未来を夢見る。まだ約束は煌めいている。

あれ、なんか。約束に思いを馳せ、相手を思う時間って、愛おしいかも。

果たされない約束には永遠が宿るのかもしれないと思うようになった。
だってわたしさえ覚えていれば、そのいつかが来るかもしれないじゃん。次はまだまだずーっと先のことかもしれないけど、無いなんて誰も言ってないんだ。ないことの証明ができないのなら、あるのと一緒だ。
またねって言ったんだからいつか会わなくちゃいけない。今度これあげるねって言われたなら、いつかそれをもらわなきゃ。
約束で繋がったわたしたちは、永遠を抱えているのと同じなんだと思う。その永遠はたしかにせつないものかもしれないけれど、信じていれば温かさを伴って、寄り添っていてくれる。煌めきは消えない。
これはよすがなのだ。信じることは難しい。けれど、信じること自体が拠り所となる。
もちろん叶うに越したことはないんだろうけれど、こうして宿った永遠をみつめて過ごすことは、割と幸福にちかいんじゃないかと思う。未来の明るさを信じていられる。
未来は明るくあるべきなんだ。

約束が叶うその日を夢見て、わたしは今日も眠りにつく。会いたい気持ちはずっとある。
だからまたいつか、会えますように。

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