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「さみしい夜にはペンを持て」

 古賀史健 著「さみしい夜にはペンを持て」を読みました。
 話題の書で、この隣に「13歳から鍛える 具体と抽象」が並んでいて、この2冊を並べて売った本屋のセンスが良すぎた。
 書く方が本書、読む方が「具体と抽象」だぞ、買え、と言われているかのようである。
 まず分かったことは両方とも中学生向けの書物であって、だからといって大人が読んでいけないこともなく、そもそもビジネス書の棚にあったから大人向けだろうよと。
 挿絵が多くて読みやすい本だ。タコジローとヤドカリのおじさんの物語だ。現代版「君たちはどう生きるか」とも言えそうだ(ジブリじゃなくて吉野源三郎)。得体の知れないおじさんが中学生を大人の世界の入り口に連れていく話だ。
 文を書く、ということは自分と対話することだ。誰かに見せるために書くのではなくて自分のために書く。だから何を書いてもいいし書いたことを消してもいいのである。事実Kがnoteを始めたのはそれが動機で、別に情報を売ろうとも思わないし、誰かとつながりたくてやってるわけでもない。
 愚痴を聞いて欲しかったらツイッターの鍵を開けて思いつくまま書けばいいが、あれには編集機能がないから書いて消すの消すができず、あっちはもっぱら読む専門である。Kがやりたいのはつぶやきではなくて、言語化である。
 言葉にしなければなかったことになる。言葉は考えるツールである。
 コペル君はおじさんに連れられて外の世界へ出て行くが、タコジローはヤドカリのおじさんに内側にどんどん連れて行かれる。自分との対峙は時には外の世界との対峙より過酷なことである。
 Kは大人なので、この本を読んで自分が思ってきたことはだいたい正解だったんだなと答え合わせをした。ベストセラーと筋が似ている考えだったことはなんかの担保になる。なんの担保か知らんけど。