燕は戻ってこない(ドラマ)
子どもを産んだか産んでないかは女性にとって大きな違いである。子どもを産んだことのないあんたに何が分かるのよはよくある陳腐なセリフだが、本当にコレ。
前半はただただ草桶一家が気持ち悪いんだが、赤ちゃんがやって来て以降、実は草桶母が一番マトモで基さんは普通のパパの心を得て、子どもを産まない悠子とりりこがものすごく気持ち悪い。悠子が最初から最後まで気持ち悪くてすごい。内田有紀がすごい、一貫して私かわいそう、って雰囲気で一番あざとくてズルかった。
草桶母は登場人物の中で唯一子どもを産んだことがあり、赤ちゃんがやってくることがどういうことか分かっている人だ。基は男性だからただ子どもの誕生を待つしかない。一般的な父親と同じである。
悠子は複雑な立場で思いもいろいろあるんだろうけど、途中離婚を真剣に考えているのに(書類上離婚しているんだけど)、赤ちゃんを見たとたん欲しくなってしまったの、で出産後すぐに基と復縁するために離婚届けだのなんだのを持ってくるとか、ビックリするほど自分勝手。
オトモダチのりりこは、リキのパトロンで配置されたキャラクターだろう。本来なら基と悠子がやるべき仕事なんだがやらないもんで、ああいう無関係な立場からのヘルプがなけりゃリキ死んじゃうじゃんね…。最終回で悠子に退席を求められリキの弁護をしようと居座るけどリキにも席を外してと言われ退場し出番が終わる。草桶家には財産があるのだから赤ちゃんと共に家に入って全部もらっちゃえばいいのよ、が最後の言葉だが、金じゃねんだよと(金のために代理母を始めたんだが)、出産は金じゃ解決できない何かがあってそれがこの女ども(いずれもいい年したオバサン)にはいっこも分かってない気持ち悪さがすごい。
金のために代理母を始めたリキが、出産お金じゃ解決できないと気づくのがこの物語の凄みであって、赤ちゃんはかわいい。契約では子どもは一人とあったので、双子のうち一人を連れていっても契約違反ではないのだろう。赤ちゃんたちとリキが幸せになっているといいなあとドラマだけど思う。