🌀BLスパイラル💫

『僕が夫に出会うまで』
七崎良輔 著

幼少期のいじめ、学生時代の初恋、失恋、抑えきれない嫉妬、そしてカミングアウト－。
人知れず苦しみつづけたセーラームーン好きの少年は、それでも明るく前のめりに光をもとめ、幸せをつかんだ。
その道のりは、誰もが共感しうる「愛と青春」に満ちている。
（口絵文そのまま）

2016年10月10日体育の日
この日、由緒正しき築地本願寺では歴史上初の男性同士の結婚式が執り行われた。
揃いの袴姿で指輪の交換をする新郎の亮介さんと新夫七崎良輔さんだ。

✨✨✨✨

このお話はフィクションではない。
実在し、悩み、叫び、泣いて、
そして恋をし、キスをして、抱き合い、わかりあって、幸せをつかんだひとりのゲイの告白本。

マイノリティの問題は、少しずつ認知されつつありはしてもまだまだ社会においては偏見や差別は避けられないのが現状。

芸能人の中にはそれを売りにしてメディアに登場する人は多いが、
一般人が公にカミングアウトすることは抵抗があるのは自然な心理だと思う。

でも、著者七崎良輔さんはあえてそれをやってのけた。
手をあげたくても挙げられない同じ悩みを持つ人達と、自分自身の幸せのために。

すごいと思う。

もしも私自身のことだったらそんな勇気は出なかった、絶対に。

私の子供時代は高度成長期として、社会全体が「共に手を合わせて不況を乗り切る！」と言う皆が同じベクトルで前に進むことが常識だった。
とるべき行動が統一されていることが良しとされた。
個々の生き方を尊重するとか持って生まれた性質を認めるとかは概念としてなかったように思う。

「人と違うこと」が調和を乱すとか「出る杭になってはいけない」は社会に順応するためには「守るべき常識」だった。
例え、違和感があっても波に乗らずにはいられなかった。

人並みに結婚して子供を持って初めて、子供は自分の分身ではなく、ひとつの別の人格を持って生まれてきているんだと気づかされた。
兄弟であっても、それぞれ違う。
小学生の頃は何度も担任から連絡を頂いた。
協調性が乏しい。
夢中になると話を聞かない。
勉強中上の空。

子育て中は何が正しいかわからなかったが、何年か後に友人からの誘いで、ISD個性心理学を学んだ時に人の本質、表面、意思、希望は

『生まれた瞬間にその人に宿る』
それは他と比べるものではなく
ありのままを『明らかに認める』ものである。
と、いう理論に痛く共鳴した。

社会において生きづらいと言われるHSP（繊細さん）やADHD（多動症）の人たちも、それは特別な事ではなく個性なのだと受け止めること。それと同じ意味で、トランスジェンダーやゲイはその存在事態が当たり前のことであるという定義。
『ありのままで認める』
我が子に対してもこのことを知っていれば、もっと自由にさせてあげられたかも知れないと思った。
この思考が、多くの人達の常識として根付いていけばいい。

私の大好きな作家、凪良ゆうさんはある雑誌のコラムで
～「普通」ってなんだろう？
よく使う言葉なのに、その正体は不明。
ひとそれぞれにこだわりや嗜好があって自分のものさしで選択しながら生きている。
他人が思う普通と自分の中の普通は違う。
だから、悩んだり顔色を伺ったり疑ってしまったりして、すれ違う。
そんなひと達が愛しくて書いてしまう～

彼女の言うように、普通に見えるひとでも決して同じひとはいない。
みんな「世界にひとつだけの花」なんだ。

そして、みんな個々の悩みを抱えている。
自分と違う所を持った隣のひとを「そうなんだ」と認められるようになれれば、世の中はもっと生きやすいんじゃないだろうか。

少しずつでも、一人ずつでも増えればと切に思う。

七崎さんの場合は明るい彼の人柄がとてもプラスだったと思う。
読み進めるうちに、ななぴぃに共鳴して、本当に嫉妬心が沸いてきたり、本気で涙してきたり。

両親にカミングアウトすることをなぜ躊躇してしまうのか？
この問題にある理由を彼はひとつづつ丁寧につぶしてゆく。

メリットとデメリット。
カミングアウトする場合としない場合。

カミングアウトされた親はなぜ傷つくのか？
同性愛＝普通じゃない。良くない。かわいそう。気持ち悪い。変態というネガティブなイメージ。
ならば、そのイメージを変えたい。
僕は将来、ゲイとして幸せな家庭を築くのだから。
僕にとって最善の未来、それは隣にステキな旦那様がいる。
お盆やお正月はお互いの実家へ帰省したり、家族の冠婚葬祭にも当たり前のように旦那様と一緒。
お互いの家族や友人に支えられ、旦那と二人で生きていく。
これが僕の一番の理想なのだ。

そのためには本当の自分をまずは母にわかってもらいたい。
でも、その事で悩ませてしまうのではと、また躊躇してしまう。

その時、ある人はこう言った。
「親は子供の事で悩むためにいるんだよ。だから、うんと悩ませればいいんだ。」

そうして、彼はひとつづつ困難を乗り越えてゆく。
困難と引き換えに幸せへ一歩ずつ力強く歩いてゆく。
ななぴぃに勇気をもらえた。
この本に出会えてよかった😃

読んでいて、思い出した本がある。前述の凪良ゆう著の
『愛しのニコール』だ 。

都会からは果てしなく遠い田舎の町でゲイであること自覚したニコはいじめを苦に、自殺しようとやって来たプールで初恋の榮に出会う。
「死ぬくらいなら、それを笑いに変えて見返してやれば？」とアドバイスされ、ニコールと言うおネエキャラをつくりだす。

ニコは中高をおネエキャラを貫き大好きな榮に告白してもジョークと笑い飛ばされ、ひっそりと失恋に耐えた。

逆に榮の恋の相談を持ちかけられ…

そこのエピソードが本書と重なり、リアルな嫉妬の感情に打たれてしまった～💦
ななぴぃとニコールがダブル～💦

本当に辛かったよね～💦
でも、ハッピーでよかった😃

七崎さんのこれからの活動を陰ながら応援せずにはいられない～❤️
がんばってください🎵

僕が夫に出会うまで