【考察】己等乃麻知比売命（ことのまちひめのみこと）の謎を解く・その2の2父・玉主命から九頭竜へ
静岡県掛川市にある事任（ことのまま）八幡宮。
地元のパワースポットとして大人気の事任八幡宮（ことのままはちまんぐう）。
「言葉のまま願いが叶う」として、県外からも多くの人が訪れ、大変人気の神社です。
しかし、その御祭神である己等乃麻知比売命（ことのまちひめのみこと）
（以下、ことのまち姫）は、古事記や日本書紀、その他文献にも登場しないという、かなーり謎の女神様なのです。
というわけで、このことのまち姫の謎を解くシリーズ。
第二回目、姫の父親、玉主命（たまぬしのみこと）が一回で終わらなかったので、続きです。
神様の名前が乱舞するテレビドラマの『全領域異常解決室』を見ていたら、藤原竜也くんが、「天石門別（あめのいわとわけ）」だと名乗ってたからひっくり返りましたww
今書いている玉主命の別名が「天石門別」なんですよ笑
玉主命の謎①別名・天石門別安国玉主から考察
さて、前回の続きです。
検索していたら、ことまち姫の父、玉主命を祀る神社について書かれたブログをみつけました。なんと高知県でことまち姫につながる情報に行き当たるとは。
高知県に『天石門別安国玉主天神社』（あめのいわとわけやすくにたまぬしあまつかみやしろ）というそのままの名前の神社があるんですね。
祀られる天石門別安国玉主天神は、阿波系の忌部氏につながるのでしょうか。
こちらの神社でも「天石門別神」の別名「天手力男命（アメノタヂカラオ）」と書いてあるとのこと。やはり、タヂカラオでもあるようです。
タヂカラオは、｢天岩戸｣神話で、天岩屋に隠れてしまった天照大御神の御手を取って引き出したり、邇々芸命の降臨に際し付き従い天下った神さまです。
これだけでも天照大神にかなり近い位置にいたことがわかります。
そして、さらに以下の内容が書かれていました。
明治45年（大正元年/1912年）の『府県郷社明治神社誌料』（ふけんごうしゃめいじじんじゃしりょう）、一般に『明治神社誌料』と略称されるそれに、次のような一文があります。
「天石門別安國玉主天神社。此神は太玉命の子・高皇産霊神の孫なり、土佐郡朝倉村縣社朝倉神社祭神、天津羽々神の父とす、創立年代詳ならず、延喜の制式の小社に列し、黒瀬村の内宮ヶ奈路部落の産土神なり」
こちらの記事のポイントは2つあります。
①天石門別安國玉主は太玉命の子
②玉主命の娘の名前は”天津羽々”
①玉主命は、太玉命の子。
前回の謎、玉主命は忌部氏の祖、太玉命の子供のようです。（私が勝手に太玉命=玉主命と思っていただけではありますが）
それなら玉主命が忌部氏の神であり、太玉と別人であることに納得が行きます。
②天津羽羽（あまつはは）という娘神がいる
玉主命をたどっていたら、天津羽羽（あまつはは）という新しいキーワードが出てきました。
これは大きい！
どうやら調べていくと女性らしく、ことまち姫の別名の一つなのかしら？
それとも姉妹？？？
さらに読み進むと、このブログの方は
コトノマチヒメの和魂（にぎみたま）は、阿波々神社（あわわじんじゃ）の「アワワヒメ」だと云いますので、「あわわ」は天津羽々の「あはは」に通じるのだと思われます。
え、あわわ神社！？
地元の掛川市粟ケ岳にある阿波々神社（あわわじんじゃ）という可愛い名前の神社があるのですが、その神様と関係があるというのです。
調べてみましたら、阿波々神社（あわわじんじゃ）自体のサイトには記載されておりませんでしたが、その他の方のブログに社伝の記載が残されていました。
社伝によれば、天平８年（７３６年）の創建だが、創建時の事情は不明。祭神は阿波比売命だが、別名・天津羽羽神とされ、天石戸別命の御子で八重事代主命の后神という。一説に、阿波比売は和魂、天津羽羽神は幸魂で、「事任八幡宮」の祭神・己等乃麻知比売命は荒魂であるともいう。
何人もの方のブログには書かれているのに、肝心の公式サイトに書かれていないというこの一文の謎。（なぜ消されているのか不思議です）
なるほど。ことまち姫の祀られている神社、事任八幡宮からそう離れていない山の山頂にある阿波々神社は何かしら関係があるのではないかと思っていましたが、もしかしたら「天津羽々」でつながるのかもしれません。
そしてもちろんアワと言えば、阿波国。
先ほどのブログの天津羽々神が祀られる神社も土佐郡朝倉村。
ことのまち姫は、阿波国につながる姫さまでもありそうです。
天津羽羽をさらにここで追求したいけど、グッと堪えてちょっと後にして。
先に玉主命の続きをいきますね。
【ポイント】
「天石門別神」の別名は「天手力男命（アメノタヂカラオ）」
天石門別安國玉主は太玉命の子
阿波々神社のご祭神、阿波比売命も同じ天石戸別命の御子である
阿波比売命は別名・天津羽羽神とされ、天石戸別命の御子で八重事代主命の后神
ことのまち姫は阿波と関係があるらしい
玉主命の謎②別ルートで考察
天石戸別命についてWikipediaではこう書かれています。
『古屋家家譜』によると、大伴氏の祖・高皇産霊尊の子である安牟須比命の3世孫に天石門別安国玉命（あめのいわとわけやすくにたま）がいるとされ、同系譜では、天石門別安国玉主命、大国栖玉命、大刀辛雄命（たちからお）の別名があるとされる。
また新しい名前が出てきましたね。
大国栖玉命（おおくにくすたまみこと）
この名前の中にある、「国栖（クズ）」は古事記や日本書紀ではまつろわぬ人々……どちらかというと野蛮な人たちとして登場する一族です。
そしてこちらのブログに興味深い記載が。（いろんな方の考察に頼って私は生きています）ちょっと長い部分ですが引用させてください。
＊天石門別安国玉命(アメノイワトワケヤスクニタマノミコト)
手力男命のこと。系譜上の註釈にも｢大刀辛雄命(タヂカラオノミコト)｣とあります。
｢大国栖玉命(九頭大明神)｣とも称されています。道臣命の父である刺田比古命が紀伊国名草郡の刺田比古神社で祀られますが、かつて九頭大明神とも称されていたようです。また紀伊国名草郡を中心に｢九頭｣｢国主｣などを冠する社が多く鎮座しています。
・九頭龍神社(和歌山市三葛)
・國主神社(海南市多田)など他多数有り
また｢紀ノ川｣(上流の大和国では｢吉野川｣)流域では、磐排別命(石押分、イワオシワク)が多く祀られています。九頭神社(福島九頭神社)においてもご祭神は磐排別命。おそらくは天石門別安国玉命(手力男命)と同神であろうと思われます。
この神は神武東征時、吉野の山中で出会った｢土蜘蛛｣的な書き方をされている人物(神)。井氷鹿・贄持之子(ニエモツノコ)と次々に出会っています。取って付けたが如く…。わざわざ遠回りしてまで…。
井氷鹿は丹後の神で神武東征の真の主導者である椎根津彦命(珍彦、大和大國魂神)の母。贄持之子は｢隼人｣の裔。どうやらこの三者にはどうしても会わねばならなかったようです。
天石門別安国玉命(手力男命)については、到底一筋縄ではいかないので別項にて取り上げたいと思います。
何が言いたいかというと、私の目に留まったのはここ
天石門別安国玉命は、大国栖玉命(九頭大明神)｣とも称されている。
｢紀ノ川｣流域では、磐排別命(石押分、イワオシワク)が多く祀られている
九頭神社(福島九頭神社)のご祭神も磐排別命。
この神は神武東征時、吉野の山中で出会った｢土蜘蛛｣的な書き方をされている人物(神)
この『磐排別命(石押分、イワオシワク)』は『古事記』『日本書紀』では、吉野の国巣の始祖であると書かれています。
そして国巣=国主=九頭龍（！）と繋がってくるとは。
ことまち姫の父ちゃん、ますます謎多き神様になってきました。
さらに続きます。