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日常的な魚油サプリメントの摂取が、心血管イベント(心臓や血管の病気)を防ぐ

今回は、日常的に魚油サプリメントを摂取する習慣が、死亡率や心筋梗塞などの心血管イベント(心臓や血管の病気)の抑制と、強く相関していることを明らかにしたイギリスの臨床研究をご紹介します。

魚の油に含まれる"ω-3脂肪酸"が健康に良いと言われていますが、魚油を含むサプリメントの日常的な摂取が実際に心臓疾患の予防につながることが、約42万人を対象にした大規模臨床研究から示されています。

紹介論文

Associations of habitual fish oil supplementation with cardiovascular outcomes and all cause mortality: evidence from a large population based cohort study.

魚油はなぜ心臓疾患の予防によいと言われている?

魚油に含まれている、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)といった脂肪酸が、血中のコレステロール濃度を下げて、血液をサラサラにすることで、血管が詰まってしまうのを防ぐとされています。

それによって、血管が詰まることで生じる心筋梗塞などの心血管疾患を予防できるのでは?と考えられています。

これまでのエビデンスは実は矛盾しているところがあった

では実際に魚油を摂取することと心血管疾患の抑制に相関があるのかというと、過去の臨床研究では、心血管疾患の抑制と相関があるという研究報告と、相関がないという研究報告がありました。

そこで今回、イギリスにおいて約42万人を対象にした大規模な臨床研究を行うことで、魚油サプリメントが本当に効果があるのかどうかを検証しています。

魚油サプリ

今回のイギリスでのコホート研究が示すこと:日常的な魚油サプリメントの摂取はたしかに心血管疾患の予防に効果がある

元々の心血管疾患の既往のない患者427678名を対象に、日常的な魚油サプリメントの摂取と心血管疾患発症との相関を、約9年間にわたって追跡して調べています。

ちなみに、今回の対象患者約43万人のうちの3割、約13万人が日常的に魚油サプリメントを摂取していました。

結果として、
✅魚油の日常摂取群は摂取していない群と比較して、心血管疾患が原因の死亡が約16%、魚油の日常摂取群で低いことが示されています。
✅特に、心筋梗塞が原因の死亡に関しては、日常摂取群で死亡率が約20%低いことが示されています。
✅また心血管疾患の発症自体も、魚油の日常摂取群では日常的に摂取していない群に比べて約7%低いことが示されています。

よって今回の大規模臨床研究の結果から、日常的な魚油サプリメントの摂取は、確かに心血管疾患の予防に効果があることが示唆されます。

まだ今後必要な検証として、
✅どれくらいの量のサプリメント摂取がもっとも効果が期待できるのか?
✅魚油の中の特にどの成分が心血管疾患の抑制に重要なのか?

といった点を今後検証していく必要があります。

ただ少なくとも、今回の約40万人を対象にした臨床研究から、魚油サプリメントの摂取は確かに心血管疾患の予防に効果があると言えそうです。


今後も分かりやすい、簡潔な記事を心がけていきます🙇🏻‍♂️