あなたが「男だから/女だから」他者を傷つけるし自分も傷つくことがある。だからといって「あなた」を辞める必要はない
『BEASTARS』(既刊10巻)
擬人化された動物たちの学園生活を描いています。
肉食でハイイロオオカミのレゴシが草食でウサギの少女ハルに恋をした。
生れながら捕食する側であるレゴシがいくら恋愛感情だと思ったところで狩猟本能にとらえられてしまう。そしてハルにとってはどんなに相手が優しそうでも、本能的に逃げ出そうとしてしまう。
誰しも悩んだことがあると思う、自分が相手を好きなのは真実の愛?それともただの性欲?征服欲?なんのために一緒にいたいの?
あなたがあなたであることに異論はないが、あなたがその性(属性)をまとっていることが周りにとってどんな意味があるのかを改めて考えることであなたというものの意義をもう一度考えて欲しい。そんな気持ちのこもった作品。
『青のフラッグ』(既刊5巻)
最新刊5巻において突然の当て馬キャラだったマミの覚醒。
今まで女だから、ということで男女ともうまく関係が作れなくて、誰も自分を好きにならないでほしいと思いながらもうまくいかず「そうか、悪いのは自分なんだ、自分さえ存在しなければ…」という思考から一転「あたしはあたしだっつーの!」と己を貫く生き方を宣言。
表紙の主役3人よりもモブキャラがいきなりの自己肯定バンザイ、「女の子に生まれて良かった」と宣言するそばで表紙右端のヒロインに恋している女友達の暗く落ち込んだ表情が描かれて…
本筋の三人は、晴れて中央と右のヒーローヒロインが告白を経て恋人同士になったことで、中央の彼に恋する左の陽キャの本音が今までは封印されていましたが、メインの二人が付き合い出したことで各々に恋していた同性の友人たちの葛藤がいよいよ本格的に描かれていきそうです。
「男だから」「女だから」ということで禁じていた関係、マミのように「自分は自分だ」と思える日がくるのでしょうか。