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「かぎろひ(Kagirohi)」

◆「ひがしの野に かぎろひの立つみえて かえりみすれば 月かたぶさぬ」 柿本人麻呂(万葉集 巻1-48)

 「かぎろひ」とは、夜明け前のひととき、東の野のかなた一面が薄赤とも茜色とも表現できない美しい色に染まる一瞬のことで、厳冬のよく晴れた、日の出一時間ほど前に現れる最初の陽光、といわれる自然現象です。
 
 掲題の歌は、持統6(692)年冬、柿本人麻呂が軽皇子に同行し、皇室の狩り場だった阿騎野を訪れた時、その雄大な夜明けの風景を目の当たりにし、詠んだもの。

 人麻呂がこの歌を詠んだ丘は、奈良県の大宇陀にあり、毎年、旧暦の11月17日に「かぎろひを観る会」が開催されています。

 ただ、気候、温度、湿度など厳密な条件が合わないと見られない貴重な気象状態のよう。
 
 「かぎろひ(Kagirohi)」を、ペンネームにしたのは、夜明け前の荘厳な自然現象を踏まえて、未来に向けてのパワーを漲らせていきたいという思いからです。
 
 先日、人麻呂がこの歌を詠んだとされる「かぎろひの丘」に行ってきました。

 近鉄榛原駅から、大宇陀行きのバスで約20分。終点の大宇陀バス停から、徒歩10分のところに「かぎろひの丘・万葉公園」があります。

 公園内には、上記の歌碑がありました。
 
 記述によりますと、高見山方面で「かぎろひ」を眺め、西に沈む月をかえり見したとのことですが、生憎の曇天のため、高見山は見ることはできませんでした。

 「かぎろひの丘・万葉公園」から南側へ下りると、「阿騎野・人麻呂公園」があり、公園内に中山画伯の壁画「阿騎野の朝」をもとに製作された柿本人麻呂の騎馬像が建っていました。

 この像の人麻呂の視線は、はるか東の山並みの稜線をしっかりと捉えていて、「かぎろひ」を見やっている感じでした。

 この地には、古代の狩場であった「阿騎野」の中心施設が置かれていたとのことで、現在、遺跡公園として保存されています。

柿本人麻呂像
「かぎろひの丘」の説明文


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