ポーランド旅行記・3日目
のんびり家を出た。太陽が低いせいで早朝のように感じるけれど、午前10時。日曜日でおまけに祝日で、通りはいよいよ閑散としている。
明確に何かがあるよと聞いたわけではないけれど、多分何かあるだろうと思って中央市場広場へ向かう。途中で中央駅に寄ったりもしてみる。ウクライナ行きに使うバスターミナルの下見も。やけにWi-Fiの調子が悪い日。
旧市街へ向かうにつれて、人出がみるみる増えてきた。ポーランド国旗を持っている人が多い。今日はポーランド独立記念日。しかも100周年。
気になっていたオブヴァジャーネックを買う。クラクフでしか買えない、ベーグルの元祖のようなものらしい。「ベーグルの出で来はじめの祖」。高校の古文の授業を思い出す。小さな屋台で売っている人があちこちにいる。
あったかいことを少し期待していたけど、予想通り期待は外れ。外側の生地はかたい。さくさくやぱりぱりの硬さではなくて、ぎゅっとよく締まっている感じ。やっぱり一度茹でてあるからか、冷えてかたいながら全体的にむっちりしている。すごくほんのりした塩気が3回に1回で、いいアクセント。ひとつ50円ほどと安くてあちこちで売っているせいか、みんなが食べている。そしてみんなが広場の鳩にあげている。広場の鳩が人馴れしている理由がわかった。その割にはフンで汚れてないな、とか考えながら座ってひとり黙々と食べる。時々鳩にも投げてやる。
昼の12時に何かあるだろうという予想は当たりだったようで、11時半、広場の特設ステージを中心にどんどん人出が増していく。大人も子どももおじいさんも、それぞれ色々な形で国旗を掲げたり振ったり胸に付けたりしている。別に保守やら国家主義をこじらせた訳でもなく、素直に自分の国が好きでお祝いしているのだというのはいいもんだなと思った。
12時。ステージの司会者がオープニングらしい感じで喋りだした。が、ポーランド語なのでよくわからない。聞いているうちに”hymn”みたいなことを言ったので「よっしゃ!」と思った。その後で「ドンブロフスキのマズルカ」みたいなことも言ったので間違いない。カメラの録画をオンにする。
「ドンブロフスキのマズルカ」はポーランドの国歌。元来その国の人がみんなで国歌を歌っている様子というのが大好きで、アメリカでも事あるごとにビデオで撮っていた。独立記念日のイベントと言えば歌うだろう、それだけでも見られればいいや、と思っていたからこれは嬉しい。
国歌のあとは女性歌手が出てきてコンサートが始まる。一緒に歌っている人も多かったあたり有名な人らしい。
昼ごはんを食べて帰ることにしたが、なかなかいい店が見つからない。Wi-Fiがダメなので検索もできないし、ぶらっと歩いて見つけようにも祝日の日曜日で、そもそも開いている店を見つける時点でハードルが高い。ようやく「ここにしようかな」と思って入った店も、団体の予約があるから……と断られてしまった。
結局、泊まっている家のそばの店でケバブを買って帰った。部屋に戻ってひとりでポーランドに乾杯。1日中ずっと充実していたわけではないが良いものが見られた、量より質な1日でした。
本とか買います。