面白くないシーン表の作り方
面白くないランダムチャートと面白いものの差があると思っている。
特にシーン表についてである。
まず、シーン表は結構抽象的に書かれる(シーン表そのものは知っている前提で語る)。
シーン表の内容から様々なシーンを想起させるように書かれるからだ。
調べてみてもシーン表の書き方は基本的に「ブレストをする。以上」としか書かれていないものが多い。どの程度の抽象度のバランス調整が必要なのか。
3サイクル4人用のシナリオであると、12回シーン表をロールするものと計算できる。
12回ロールすることで、シーン表に飽きてくるような状況が生まれてくる。
私はこれを「サイクル数に耐えられない」と呼んでいる。
例を出そう。
学校シーン表とする。
シーン表の内容が
1.「静まり返った教室。」
2.「誰もいない教室に夕日が差し込む。」
3.「教室。人がいれば喧騒もあったであろう。」
の3つであったとして比べよう(本来もうちょっと書くべきあるが、ご容赦ください)。
この中で最もサイクル数に耐えられないのは、2のものである。
まず、1.から見てみよう。
1.は「静まり返った」である。
この状況は
・人はいるが、テスト中やなにか不思議なものを見てしまって誰一人としてしゃべることができない
・そもそも人がいない
と、教室内に人がいようがいまいが関係ない文章だ。
ここを「厳粛な雰囲気の」としてしまえば人がいる方面により強くなったりする。
次に3.は「人がいれば」の部分に注目する。ここから「教室内に人がいない」ことがわかるが、重要な登場人物はいても構わない。「喧騒」がないので、重要な登場人物が静かにいればよい。
最後に問題の2.である。上記のような「誰もいない」の部分よりも重要な部分は、「夕日」である。この一単語で時刻を指定しているのだ。「静まり返った教室」であれば、時刻が指定されていないので、朝であったり、放課後であったり、夜であったり、日中であっても野外にでていたり、人がいるが静かにしなければならない状況であったりする。一方で「夕日」と時間が固定されている場合、放課後のみである。
例えば夜のシーンをやった後に、このような「夕日」が差し込むシーン表を振ったら、これを回想シーンにするなどの技術が必要となる。
上では一言に「3サイクル」と言っているが、ゲーム内時間で何日立つかや、シナリオ上どこにいるのかなどとシーン表がミスマッチしている部分がサイクル数に耐えられないのである。
館に閉じ込められて脱出するという脱出ゲーム寄りのシナリオで、「夜明け」「ご飯」など時間が関連しそうなワードが並んだら一体何日閉じ込められているのだろうか。
二時間くらいで山道を下るだけで、公衆電話が一体いくつあるのだろうか。
リアリティを考えるとおかしくなってくる。
シーン表は「Roll or Choiceなんだから良い」というものではない。常にロールをせずチョイスをするという選択肢があるだけであって、「RoC」ですべてを許してしまえば、どのような質の悪いランダムチャートであっても許してしまえる。「RoC」はランダムチャートをロールするか、チョイスするかの選択肢が常にあることだ。選択肢に挙げる気もおこらないランダムチャートとは一体なんなのだろうか。