TRPGのルールの例外の例外の説明

スキルや技能、パワーなどキャラクターやトラップ固有の効果はルールに則さないことを記載している。

ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版に記載されているものを引用しよう。

3つの基本的なルール
単純なルール、多くの例外:D&Dに登場するクラス、種族、特技、パワー、モンスターはいずれも、何らかの形でルールを破ることが可能である。このゲームのルールは、些細なものから甚だしいものまで多々の例外を設けることに基づいてデザインされているのだ。たとえば、普通の近接攻撃は数ポイントのダメージしか与えることができないが、どのクラスもパワーを使用することでダメージを大幅に増加させることができる。
細則は一般則に優越する:細則(ある特定の事柄に関してのみ適用されるルール)と一般則が矛盾する場合、細則の方が優先される。たとえば、一般則として、君は通常の攻撃を行ないながら移動することはできない。しかし、君が移動しながらの攻撃を可能にするパワーを有しているなら、君がこのパワーを使用するときに限って、このパワーの細則が一般則に優越するのだ。

例えば、命中判定が2d6であるゲームがあったとしよう。
これに命中判定に+1d6をするスキルを使ったとする。
本来命中判定が2d6であるにも関わらずこのスキルを使用すると3d6で命中判定を行えるということである。
これが上記の「多くの例外」である。

dmdavidのブログには5 Ways Magic the Gathering Changed the Rules of D&Dという記事がある。

そこの内容を抜粋しよう。

3. Specific beats general came from Magic, but started in a hugely-influential board game nearly as old as D&D.
In Magic, the text on any card can change the rules of the game, so a card like Platinum Angel can say, “You can’t lose the game and your opponents can’t win the game.” Among traditional games where all the rules fit on the underside of a box lid or in a slim pamphlet, this made Magic revolutionary. The original Magic rules explain, “If a card contradicts the rules, the card takes precedence.” In other words, specific beats general. Similarly, page 3 of the Player’s Handbook explains how when a game element breaks the general rules in some way, it creates an exception to how the rest of the game works.
Earlier editions of D&D included game elements that broke general rules, but the unwritten principle left new players to struggle with the apparent inconsistencies. Judging by how frequently D&D lead Jeremy Crawford restates the principle, players still struggle with it.

日本語訳

3.特定のビート全般はM;tGからのものであるが、D&Dと同じくらい古く非常に影響力のあるボードゲームから始まっている。
M;tGでは、任意のカードのテキストがゲームのルールを変えてしまう可能性があるため、白金の天使/Platinum Angelのようなカードは「あなたはゲームに敗北することはなく、あなたの対戦相手はゲームに勝利することはない。」と言っている。すべてのルールがゲームを収めている箱のなかに、またはスリムなパンフレットに収まる伝統的なゲームにおいて、M;tGを革新的なものへと変えた。M;tGのマジックの黄金律では、「カードの文章がルールに直接矛盾しているときは、カードの記述が優先される。カードはその特定の状況に適用されるルールだけを無視する。」と説明している。同様にプレイヤーズハンドブックの3ページ目には、ゲームの要素が何らかの方法で一般則と矛盾していた場合、残りのゲームの動作に例外を作成する方法について説明している。
D&Dの以前のエディションでは、一般的なルールに反するゲームの要素が含まれていたが、不文律により新しいプレイヤーは明らかに矛盾している部分に苦労していた。D&DがJeremy Crawfordをリードする頻度を考慮すると、プレイヤーはその原則にまだまだ苦労しているだろう。

こう書いてあるが、ルールをインストする上で、即座にルールの例外とぶち当たる。
とすると、インストする上で重要なのは、「どの要素が通常のルールで、どの要素が例外で、どの要素が例外の例外なのか」である。

気になった動画を一つ紹介しよう。
晴れる屋代表取締役のトモハッピー氏のYoutubeの動画で、
デュエルマスターズのYoutuberシモカワチャンネル氏にMTG初心者体験会をする動画である。

https://www.youtube.com/watch?v=qC_w4xjuUTQ

この動画で注目すべきは8:00のところ、カワ氏が「錆色翼の隼/Rustwing Falcon」を場に出したところである。
錆色翼の隼/Rustwing Falconは「飛行」を持つ(MTGのルールに関しては必要のないところは書かないので各自調べてほしい)。

トモハッピー「飛行っていう効果を説明します。飛行がついてるクリーチャーは、アタックしたときに、飛行を持ってないクリーチャーにブロックされないです」
一方で、動画の字幕には
「飛行:飛行を持つクリーチャーは、飛行か到達を持つクリーチャーによってのみブロックされます」
と表記している。

ちなみに飛行のルール上のテキストは
「702.9b 飛行を持つクリーチャーは飛行か到達を持たないクリーチャーにはブロックされない。飛行を持つクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーも持たないクリーチャーもブロックできる。」である。

ここで重要なのは2点。
1つはトモハッピー氏は、カードを出したカワ氏に説明しているのではなく、カードを出されたシモ氏に説明をしていること。
もう1つは、トモハッピー氏は「到達」という単語を使っていないことである。

前者について。
「飛行がついてるクリーチャーは飛行を持ってないクリーチャーにブロックされない」
「飛行がついてるクリーチャーは飛行を持ってないクリーチャーにのみブロックされる」

に大きな差がある。
盤面上、シモ氏の側にはクリーチャーが存在していない。飛行を持つクリーチャーが場にいなくブロックできないため、「ブロックされない」という表現がわかりやすい。
相手方または自分方が「できない」ことを説明している。
仮に、シモ氏の場に飛行を持つクリーチャーがいた場合は後者「飛行がついてるクリーチャーは飛行を持ってないクリーチャーにのみブロックされる」のほうが良い。
これはブロックすることができるからである。

後者について。
飛行/FlyingそのものはMagic: the Gatheringの黎明期か存在してきたキーワード能力である。
一方で、到達/Reachは2007年5月に発売された未来予知/Future Sightというエキスパンションで登場したキーワード能力である。
それ以前まではリミテッド・エディションのGiant Spider / 大蜘蛛が初出の蜘蛛能力であった(キーワード能力として定義されていない)。
ルールの例外的に解釈するならば、
1. 攻撃に対してブロックが行える
2. 飛行を持つクリーチャーは飛行を持つクリーチャーにしかブロックされない
3. 飛行を持たないにもかかわらず、飛行を持つクリーチャーをブロックできる、能力を持つカードがある
4. 3の能力を到達と命名する。
である。
これが「到達」キーワード能力の定義がなされたオラクルの改訂によって「飛行を持つクリーチャーは飛行か到達を持たないクリーチャーにはブロックされない。」となる。
2の「飛行」が1のブロック時の例外、3と4の「到達」が2の飛行の例外である。

場に到達を持つクリーチャーが存在しなかったり、デッキに入っていないならば到達など説明する必要はない。
キーワード能力はプレイヤーがキーワード能力を目にしたときが重要なのである。

念の為言っておくが、「到達」や「飛行」を上記のように理解したほうが良いということではない。
どのルールがどのルールに対する例外なのか、そしてそれをどのようにインストするかという話である。


いいなと思ったら応援しよう!