デジタルゲームをTRPGにした場合の処理

ポケモンは古くから個体値・種族値・努力値があるが、各個体は乱数でパラメータが決定される。同じコラッタでも、一つ一つパラメータが異なり、対戦用にちょうどいいものを厳選していくのだ。
藤林啓一郎さんのnoteを見て思い出したのだが、2010年代初頭はシナリオに「オンセ対応」と書いてデータを何処かサーバーにあげていたが、最近は明らかにオンセ主体で、オフセのことなど何一つ考えられていないシナリオが散見される。これについては次回辺りに書こう。

これについては今後書こうと思うが、デジタルゲームをTRPGにしたときに、何も考えずにTRPG化したであろうものもかつてはあった。それを一つ紹介しよう。

ボーダーブレイクTRPGというものが12年前にあった。
ルールなどはこれだ。

一応ボーダーブレイクについて解説しておこう。ボーダーブレイクは2009年にセガが稼働させていたロボットもののTPSである。このゲームはネットワーク上で最大10対10の20人同時プレイを行えることが売りだった。
そしてこのボーダーブレイクTRPGも多人数戦を売りにしたTRPGを作ろうとしていた。

ここがデジタルゲームとアナログゲームの違いだ。
デジタルゲームであれば、ターンが来てコマンドを入力すれば(TRSならば照準を合わせてトリガーを引くキーを押すだけだ)、相手に攻撃が当たるまで1秒もかからないだろう。
しかし、アナログゲームの場合、自分にターンが来て何をするのか宣言をし、攻撃が命中しダメージが決定するまで3~5分もかかる。もとのボーダーブレイクTRPGの場合それが10人PLになったら何分掛かるんだろうか。こういったところの違いが考慮されているのか非常に重要だ。
冒頭にポケモンの話をしたが、ポケモンをアナログゲームとしたときに、敵となるポケモンに個体値などをいれるとゲーム全体が重くなる。今目の前に出したコラッタ2体はどっちの個体値のもので、努力値をどれだけ割り振ったものなのか、パッと見て判断がつくのだろうか。
この難しさを認識できるのかは、筧 裕介『認知症世界の歩き方』を読んでいて答えにたどり着いた。タスクが分解できていないのである。『認知症世界の歩き方』には「会計にすごく時間がかかる理由」が著されている。これによると

金額を聞く→金額を覚える→小銭と紙幣の組み合わせを計算する→必要なお金を探す→お金をつかむ→店員さんにお金を渡す

筧 裕介『認知症世界の歩き方』

の6手順がある。この6手順のうちどれか一つでもできなかったら会計ができないのだ。重要なのは「会計をする」に対して挙げられている少なくとも6つの手順があることだ。

攻撃の判定一つについても、必要なダイス数を数える、ダイスをロールしてで目の数を計算する、など必要な手順がある。これをきちんと分解してデザイン設計ができているゲームは良いゲームである。


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