TRPG初心者対応とは その2
TRPG初心者対応とは その1の続きである。
もう5,6年前のことだが、とあるTRPGがあった。一応今はもうダウンロードページがないのと、本人の名誉もあるため、タイトルなどは伏せておこう。
そのTRPGとは、「とある商業のシステムを更に初心者向けにした」というものであった。
ぶっちゃけコンセプトは非常にわかる。その点については素晴らしい。さてこのシステムの単なる問題点と、洒落にならないくらいまずい問題点の2点を説明していこう。
単なる問題点
これは些細な問題点だ。実は言うとそのシステムにはルールブックが存在しない。商品はすべて「シナリオ」だけであった。ルールがすべてシナリオに「GMが話さなければならないこと」として記載されていた。
このシステムのコンセプトは「GM初心者でも遊べる」「これを足がかりにして本当のシステム(とある商業のシステムのこと)を遊んでほしい」という狙いであった。
この些細な問題点は「GMがルールのみを理解することができない」「プレイヤーから『このルールってどうなの?』という質問を受けてもシナリオ上の後半に記載されていた場合、シナリオがバグる」など様々ある。
重大な問題点
このゲームは5,6年前だと申し上げた。当時(当時以前)に何があったかと言うと「クトゥルフ神話TRPGやろうずWikiによってルールブックが公開され、ルールブック未所持でGMをやる人が増え、それに関する批判がtwitter上で多く見られた」時期である。
このシステムにはこれにまつわる非常に重大なことが記載されていた。それはシナリオの最後である。
みなさんはセッションが終わるときなんというだろうか。「以上でシナリオ終わります。参加いただきありがとうございました」と挨拶するだろう。
このシステムには「本物はもっと遊びごたえがあって面白いので、ぜひ遊んでみてください」とGMのセリフが記載されていた。
考えてほしい。このシステムは「本物のシステムを遊んだことのないすべてのユーザーが本物のシステムを遊ぶ足がかりとして遊んでほしい」というコンセプトであった。すなわちターゲットは、「本物のシステムを遊んだことがない人」である。
「本物はもっと遊びごたえがあって面白いので、ぜひ遊んでみてください」と言うセリフは「本物を遊んだことがある人が言うセリフ」であってデザイナーはユーザーに「エアプを強要する」ゲームなのである。ユーザーが自らエアプをするのはユーザー本人の責任なので勝手にしたらよいが、他人に共用するのはいかがなものだろうか。
このシステムは間違いなく「GMが言うべきことが全て書いているので初心者でも安心してGMができるシナリオです」というコンセプトであれば、間違いなく良いコンセプトであったと思う(出来はその次の話)。下手に「これを足がかりに初心者にも他のゲームを遊んでほしい」といった気持ちを入れてしまったがゆえに一気に駄作以下へと躍り出た。
twitter学級会でされるクソどうでもいい話題より、デザイナーやライターが目指して書いているものと、大いに異なる部分をきちんと叩いてほしい。
次は、ちょっとC92くらいの「初心者対応バブル」の頃の思い出話でもしたい。
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