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生活の軌跡は全て「小説を書くため」。 だから、生きていける

 正直な話、7年前、東京では自力で生きて行く道が見つからない発達障害の長男のためにと、石川県で「スポーツ・クライミング・ジム」を二人で開設。でもジムは失敗し、「お父さんは東京に戻るけど、お前はどうする」と聞くと、長男は「僕は石川県が合っている」と一人で残りました。今、彼は自立ができています。
 事業には失敗したけれど、当初の目的の長男の自立計画は成功しました。
 東京に戻って来た当初、私は、
「あとは死ぬまで、生きるだけ」
 とネガティブになっていました。
 でも、ある時、「20歳と60歳のどこが違うのか?」と思い直して、
「小説を書こう!」と決意した瞬間から、生きる意欲が湧いてきたのです。
 だから、今の生活は全て「小説を書くため」にあります。たとえ売れようが売れまいが、関係ないんです。「書き続ける」ことが、私にとって「生きる意味」だからです。
 テーマは「故郷・能登に秘められた歴史の紹介」です。「地域復興のための観光資源開発」の一助となればと思って書き続ける決意をしました。それが理由で、小説のテーマとして「加賀&能登」にこだわっているのです。

「長谷川等伯」は生まれも育ちも、私と同じ能登の七尾市です。先日、Kindleで発売を開始した小説「七つの龍の尾根」の主人公・長連龍も、能登の出身者です。そして、今書いている「籍姫様」の夫・前田利政は七尾城と小丸山城の城主でした。長連龍も再登場です。
 本当は、故郷は嫌いです。しかし、一方では老いてくると戻ろうとする帰巣本能が働くのか、意味もなく関わりを断ち切ることができない自分が存在することも、疑いようのない事実です。
 次の作品は「長谷川等伯」と、すでに決めています。彼の生まれ育った土地の空気と土と季節を知っている私が、直木賞を受賞した安倍竜太郎氏作の「等伯」とは違う、「新しい等伯を描き出してやる!」と、手を付ける前からワクワクしています。
 京都・不審庵にある千利休の肖像画を描いたのも、長谷川等伯です。だから、茶道を始めたのです。
 私の日々の軌跡は全て「小説を書くため」に、つながっています。
 だから、生きていける。 

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カゲロウノヨル
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