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ポール・ゴーギャン / メトロポリタン美術館
老画家が残した『問い』の答えを見つけるために、今日も「原稿」を書く
時々、亡くなった妻の義父のことを思い出す。今も覚えている言葉がある。
「僕は、ゴーギャンの『人は何処より来りて、何処へ去るのか』の言葉が好きでね。これは、私の人生のテーマでもあるんだけどね」
と、70歳過ぎの老画家が語っていた。
大した話でも何でもないのだが、どういうわけか、何かの拍子に『人は何処より来りで、何処へ去るのか』が、頭の中で反芻される。思考の回路にまとわりついて、剥がれなくなってしまう。
まあ、誰だって、そんなことは考えるし、考えても『答え』は出ない。古今東西、沢山の人が、この『答え』の出ない『問い』に、色々と答えてきただろうし、語ってきただろう。
でも、結局、誰からも「これだ!」という名解答は聞いたことがない。誰か知っていたら、教えて欲しいものだ。明確に答えられる奴がいたらなら、そいつは『絶対に嘘つき!』だと断言する。だって、誰も見たことなし、確認して戻ってきた人間はいない。
宗教家が言うだろうが、哲学者だろうが、物理学者だろうが、はたまた地球物理学者だろうが、素粒子がとか、ニュートロンがとかいったところで、生身の人間には辿り着けやしない。
老画家は70歳の半ばで、がんで他界した。妻は、深夜の病院のトイレで大泣きしていた。
老画家は死の瞬間、自分の『問い』の答えを見い出せただろうか。その『答え』の片鱗でも確認できただろうか。ヒントだけでも、僕に知らせて欲しかった。
僕は老画家が残した『問い』の答えを見つけるために、今日も「原稿」を書く。
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