茶室で待てば、海路の日和あり
長谷川等伯の小説を書いていて、彼を浮き彫りにするために千利休を登場させた。しかし、私の小説の中でも利休は、ついに秀吉に切腹を命じられて舞台から降りることになった。物語は、まだ途中である。そこで考えついたのは、後半は等伯の後妻を中心に展開しようと言うアイデアだ。
先日の茶道のお稽古で、それはそれは魅力的な生徒さんを見つけてしまったことが、創作のモチベーションに火をつけてくれた。ぜひ、彼女をモチーフに、等伯の後妻の話を展開したいと思い立った。
そう思って作業に取り掛かると、以前、ぜひ手に入れたいと思っていた資料が、その時の半値で売りに出されているのを見つけた。早速、購入の手配をした。諦めかけていた資料が手に入り、ストーリーの次の展開も見えてきた。一つの出来事をきっかけに、それまで全く動かなかったものが、スルスルと動き始めることがある。そのきっかけになるようなことは、何気ない日常生活の中にあることが、多々ある。それは、突然現れることもあるし、細心の注意をしていても、見過ごしてしまうこともある。毎回上手く行くとはかぎらないが、今回はうまくキャッチすることができた。
小説を書いていてよく感じることだが、主人公に寄り添う女性が登場すると、どう言うわけがワクワクしながら、筆が滑り始める。そして、何よりも物語が動き始める。不思議なことだが、これまでの経験から、そう感じる。
今度、新たに登場してくれた彼女は、小説を通して僕にどんな旅をさせてくれるのか、今からワクワクである。
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