判例時報1321号 豊田商事詐欺被告事件第一審判決 関連会社(宗)浄土真宗親鸞会
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8 関連会社等の状況
(二)親鸞会等への寄附
豊田商事では、以上のほか、およそ資金の運営とはいえない次のようなことに多額の金員を出資していた。
永野一男は、昭和五七年ころ、菊池商事の社長戊山十夫から勧められて、同人が入会している宗教法人浄土真宗親鸞会の法話を聴きに行ったり、同会の機関誌「白道燃ゆ」等を講読するようになったが、その後、永野は、たくさんの客に迷惑をかけているのは事実だから、罪ほろぼしに社員にも法話をきかせ、できるだけ財施もしたいと戊山に言い、ベルギーダイヤモンドの名義で昭和五九年三月二四日から昭和六〇年三月二八日まで、一〇回にわたり毎回三〇〇万円ずつ計三〇〇〇万円を右親鸞会に寄附をし、昭和五九年一二月上旬から大体週一回位の割合で東京と大阪で、右親鸞会から講師を招いて社員に法話を聴かせる会を催した。そして昭和五九年一二月下旬ころの銀河計画の役員会議で、永野は被告人藪内や同石川の賛成を得たうえ、昭和六〇年四月一一日ころ銀河計画の名義で四〇〇〇万円を、同月一五日ころベルギーダイヤモンドの名義で一〇〇〇万円を、豊田ゴルフクラブの名義で五〇〇〇万円を右親鸞会に寄附した。(なお、右寄附金合計一億三〇〇〇万円は、豊田商事破産後の昭和六〇年七月二〇日、右親鸞会から破産管財人に返還された。)
また豊田商事では、昭和五八年三月期に、大阪駅前第四ビル一九階に多数の仏像を並べて、宗教法人を作る準備を進めていたが、工事が完成したものの、永野が右法人のトップに据えようとしていた人物と不和となって計画が中止され、結局とりこわされて、右に要した費用約三億二七〇〇万円余は全く無駄づかいに終わった。
そにほか、永野は、昭和六〇年一月ころ、マラソン運動を助成しその普及発達等を目的とする財団法人全国マラソン後援会に対し、寄附として、同年二月五日ころ、銀河計画の名義で三五〇〇万円を送金していた。
なお永野及び被告人石川、同藪内、同石松、同道添らは、豊田商事や銀河計画の役員をしていた期間中に、頻繁に大阪北新地の高級クラブへ遊興に出かけ、多額の金員を費消していたが、支払いは被告人石川以外はほとんど現金であった。
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別表八 関連会社一覧表
番号、商号、本店所在地、設立の日、新設・買収の別、株式所有状況、具体的事業内容
1、白道㈱、東京都新宿区、59.4.16、新設、永野一男(100%)、空欄
2、銀河計画㈱、大阪市北区、59.4.14、新設、白道(100%)、豊田商事グループの各社の指導・助成
4、豊田商事㈱、大阪市北区、56.4.22、新設、永野一男(60%)、ファミリー証券の販売等
54、菊池商事㈱、名古屋市中村区、57.6.22、新設、銀河計画(100%)、商品取引
100、(宗)浄土真宗親鸞会、富山県高岡市、33.9.27、60.4.15 5,000万円寄附、(豊田ゴルフクラブ)、空欄