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リモートワークの功罪


#リモートワークの日常

リモートワークの日常ということで自分が感じた功罪について
体験記的に語ってみる。

リモートワークが始まる前

時間はコロナ前に遡る。
社会人の99%は会社に行って、仕事をする。
車や電車などを使い通勤する。
会社に行けば自分の席があり、パソコンを使って資料などを作る。
自分の担当以外とのコミュニケーションは基本的には電話。
少し先駆的な人たちがチャットツールを使っていた。
会議室を予約して外部の人や担当間でのMTGをやる。
会議室は基本的には奪い合い。空きがなければ会議は開かれない。
直属の上長なら立ち話的な相談はできたが、幹部への相談となると事前のスケジュール調整が必要で、もはや相談ではなく報告or否定(私は撃沈と称していた)の場であった。
幹部とフランクなコミュニケーションをとる手段は 飲み会と喫煙所。
不満こそあるものの それが当たり前の世界であった。

リモートワーク黎明期

台風によりトラブルが発生した。
長野県を中心に広いエリアで大きな被害をもたらす台風だった。
(台風19号で2019年10月12日(土)に上陸)
台風が抜けた日曜の昼過ぎ上司からの連絡が入る。台風により長野エリアが大変な事になっており、東京で持っている機器等を送付する必要があるとのこと。
細かい調整は上がやるので、発送可能な機器の目録や月曜朝一での発送の準備をしてほしいとのこと。

通常であれば、部屋着から着替え、頭髪を整え、駅まで歩き、電車に乗り
また歩いて自席へ、なんならコンビニに寄って戦闘準備も必要だ。
そんなことをしていれば業務開始は余裕で2時間後となる。
しかし リモートワークは違う。たまたま自宅のPCに必要アプリを
入れていたお陰で、デスクトップのアイコンをクリックしてID/PWなどを入れたらそれで業務開始。
社内の管理システムにアクセスし、翌日発送可能なリストを作り共有。しばらく後 あれとこれを送ってほしい という形で返信が来たので、月曜にそれらの機器を発送する手配のメールを書いて業務終了。実作業をしていたのはせいぜい1時間、調整結果の待ち時間もあったので拘束時間としては3時間程度だった。 

リモートワークのメリットを体感

ここで振り返る。もし出社していたらどうなっていただろう?
業務開始まで2時間+実業務3時間+帰宅まで2時間
計5時間は仕事にとられることになる。
なお給料に反映されるのは業務時間の3時間と変わらない。
しかも 緊急事態で急いでいる中 依頼したリストを
2時間以上待たされるのと、30分以内で受け取るのとでは 
上司のイライラ度は全然違う・・
このとき初めてリモートワークのメリットを体感できた。
それでもリモートワークは社畜度を高めるツールというイメージでいた。

時代はコロナ禍へ(リモートワークの転換点)

リモートワークを語る上で歴史的転換点ともいえる
コロナ禍へ
「〇〇さんは△△さんからコロナをうつされた」
「〇〇さんはコロナなのにどこどこに行った」
など ネット上は魔女狩り状態。
企業も
「うちの〇〇支店でコロナ感染者がでたので1週間業務停止します」
と広報をすると正直でよろしいと賞賛されるような 状態。
 
とはいえ 社会活動は血液の流れと一緒。止めるわけにはいかない。
冷凍保存のように一瞬ですべてを止めてコロナが消えた後、
解凍する なんてことは 空想の世界のこと。

リモートワークの功罪について吟味する

コロナ禍により全世界的にリモートワークが始まり常識が覆り始める。
すぐに体感できたのはメリットだった

・出勤帰宅の時間がない
これはすぐに体感できた。オフィス出勤時は終電に合わせて仕事をするようなこともあった。これがない。同じ時間に仕事を終えたとしても直ぐに風呂に入って寝ることができた。そして朝もギリギリまで寝ていられる。
平日に8時間睡眠なんてありえないと思ったが、
あっさり実現できた。

・チャット コミュニケーションの良さ
会社での会話の大半チャットに置き換わった。
チャット文化により 
他部署などの人にも気軽に相談ができるようになった。
グループチャット機能などもあり、これまでは報告や否認しか
の場でしかなかった幹部との会話も、相談に代わっていった。
これは企業活動として最大のメリットではないだろうか。

・子育てや介護と仕事の両立化
このメリットは非常に大きいと考える。
各種送迎や病気等の対応等など 出勤していたら
対応できなかったことがリモートワークでは対応可能となった。
これまで 「お迎えのため早上がりします」と言いづらかった人も
「お迎えのため16時から18時は不在にします」は言いやすい。

・成果主義の促進
いままでは「残業してこそ上司の評価があがる」的な根性論評価もあった。
評価する側からすれば 頑張った人を評価したいのは当たり前。
とはいえ全員にいい評価を与え続けるのも無理な話。
同じような市場を担当して年間売り上げが10億円と1千万円なら評価は容易だがそんな単純な話があるわけない。そうなるとどうしても頑張り度合いで見てあげるしかなくなる。
ところがリモートワークになると個々の動きが良い意味でも見えなくなる。
そうなると 上司側も求めるものが明確になり、社員側もそれに応えられるかどうかがポイントとなる。そういった意味で成果主義の評価になってきていると考える。

しかしデメリットも浮かんでくる。
・運動不足(笑)
これまで通勤に往復で4時間程度かけており、それなりの歩数歩いているし
電車だって立って乗っている。外部とのMTGも相手事務所に移動があった。それが一転0となる。
結果 肥える・・

・孤独感
会社に行けば上司を含め周囲の目があり、緊張感でもあるが見てもらえているという安心感でもあった。
それがリモートワークにはない。
リモートワークになり朝夕に業務予定/作業完了報告会を開く担当が増え
業務上細かなチェックは入れるようになったが、一日の大半は孤独となる。

派遣会社から来てもらった人との軋轢

孤独感からのつながりではあるが、リモートワークについて触れざるを得ない難しい問題があったので記しておく。

コロナ禍が広まり、リモートワークをやらなければならないという状況が社内で広まってきた時の事である。
うちの担当では派遣会社より労働者派遣として3名派遣してもらっていた。
それを指揮する立場の社員と3名との間では元々軋轢はあった。
折角きてもらっているので、できるだけ希望をかなえててあげようとするが中々うまくいかない状況であった。
(3人ともが牙をむいている感じorz)
業務内容や指示の質といった表面的な問題ではなく、立場の弱さからくる不安・不満、生活の不安定さ等から生まれてくる負の感情が原因と理解するしかなく、有効な手立ては見つけられなかった。

そこにコロナ禍である。
会社も出社必須な業務以外はリモートワーク推奨であり、彼らも同様である。もちろんリモートワークに必要な環境については会社側で提供することとなった。
しかし 彼らは猛烈に反対をする。正直手が付けられない状況だった。
彼らが提示する拒否理由や希望条件に正当性や一貫性は何もなかった。
根本的な不安・不満が爆発した感じだった。
彼らを非難する気持ちはなかったがこのままでは双方にメリットがないことは明白で、決断せざるを得ない状況となった。

今 改めて何が原因で爆発したのかと考えると「孤独」が真因だったのではないか考えている。
3人は不平不満をいうが毎日きちんと出社していた。
出社し席を並べることで辛うじて、言いたいことを言えていたのだろう。
それでなんとか心の安寧が保てていた。
それがリモートワークとなり分断されてしまうのが怖かったのではないかと考えている。

彼らはどうしても正社員と比べれば弱い立場である。
いくら理解に努めようとしても、彼らの不安・不満をすべてを理解し、
問題を解決できるわけではない。
派遣制度の是非を論ずるつもりはないが
リモートワークの功罪として、記録しておく。

ワーケーションは進むのか?

リモートワークでの仕事の仕方が軌道にのるとAfterコロナの
働き方が話題となった。
うちの会社はAfterコロナにおいてもリモートワークに前向きだったので、
社員間でもワーケションは話題に上ることはあった。

ただ 自分の周りでワーケションをしているのは一握りである。
パーセントでいえば1%くらいか。
ワーケションではないが、職場の通勤圏を離れ、
地元に帰った人を加えても5%という感じだろうか。

大都市圏一極集中の打開や地方の活性化としてリモートワークを活用したワーケションに期待はあるが現実問題はそうはうまくいかない。
うまくいかない理由として2つのポイントを挙げる
・家庭環境や友人環境は動かせない。
 例えば趣味が一人でサイクリングとかならワーケーションもしやすいが
 野球チームやサッカーチームに所属していれば自分だけ地方に行っても趣
 味が成立しない。家庭生活においても子供の学校や塾などがあれば自分だ
 けワーケションというわけにはいかない。
・生活費の2重払いは辛い
 職場の若手(独り身)にスキーガチ勢がいる。
 シーズンになると毎週末 自宅からスキー場まで数時間かけて移動し
 日曜の夜中に帰ってくるような生活をしている。
 そんな彼に 
 「ワーケーションにすれば移動時間が減るからいいのでは?」
 と話したことがある。
 すると 「仕事は自宅でしたい。平日の宿泊費がかかるのはつらい」
 とのことだった。
 なるほどと思った。
 既にリモートワークをやっている人は多かれ少なかれリモートワークに
 最適化を図っている。
 一方ワーケション先となるとインターネット環境こそ整備されているもの
 の机や椅子も使い慣れたものとは違う。
 結局 移動時間のメリットに対し環境面での問題や宿泊費・生活費の2重 
 払いなど デメリットとなるほうが大きくなってしまう。

もう少しワーケーションを深く見てみる

観光庁のワーケーションサイトを見ると、企業側、従業員側、受けて(自治体、関連事業者)のマトリックスがある。

観光庁さんの思いや地域のみなさんの思いを理解しつつも、4象限で並列に語るものではないと考える。
最も重要なのは 
従業員が進んでワーケーションをするようになるにはどうすればいいのか。
従業員がワーケーションをやってみたい。継続したいと思わせるには何が必要なのか 何がボトルネックになっているのかを分析する必要がある。
そもその需要がなければ、話は進まない。

上記観光庁のHPでは従業員メリットとして
・働き方の選択肢の増加
・ストレス軽減やリフレッシュ効果
・モチベーションの向上
・リモートワークの促進
・長期休暇が取得しやすくなる
・新たな出会いやアイデアの創出
・業務効率の向上

とある。
確かにそういった効果はあるだろう
しかし綺麗に書きすぎていて 実感がわかない。
これを読んで「よし ワーケーションだ!」とはならない。
我々 社畜に対してこんなこと言われたら「カチンとくる」まである。

完全に手段と目的が入れ替わってしまっている。
このHPを書いた人も熟慮したうえでこう書かざるを得なかったと考えると、そこが解決すべき課題なのだろう。

最後に緩ーくリモートワークについてまとめ

コロナ禍で一気に普及したリモートワークであるが、現時点では
会社及び個人がその利用可否を適切に判断し活用できてきている。
社会もそれを前提として最適化されてきた気がする。
特に子育て世代はリモートワークによる恩恵は非常に大きいと感じている。
今後の課題はワーケーションのように大都市圏一極集中の問題をリモートワークを活用してどう解決していくのか官民個で考えていく必要があるだろう。

またリモートワークが適さない業務をしている人とリモートワークできる人の差が大きくなった気がする。このあたりのギャップを何で埋めていくのか
がポイントだろう。
言葉を選ばずいえば リモートワークに適さない仕事ほど賃金が低い傾向があると感じている。
「リモートワークができない仕事だからこそ 高い賃金をもらうべき」
という社会になることが必要かもしれない。






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