第三回「親愛なる相棒ガイア氏に作品をオススメしてみよう」
爆発とロック、そして英雄譚がアメリカ映画をアメリカ映画たらしめるものなのだろう。
全ての創作は英雄譚に通じるという。
話を細分化すれば、どれも一人の主人公が物語を通して成長を得るものとなっている。 私とガイアで広報している作品「拡醒戦記アースセイヴァー」も、意図せずして偶然か否か、そんな物語構造の王道を行った。
アメリカ映画はその傾向がより強めだ。売れる作品の殆どが英雄譚であり、何者でもない主人公が英雄(ヒーロー)になるまでの過程が分かりやすく描かれている。
今回、我が兄弟ガイアに紹介するのは、ヒーロー映画シリーズであるDCフィルムユニバースの中でもトップの興行収入を誇る、一人のゴリマッチョな海底のヒーロー……
『アクアマン』だ。
ストーリーは序盤がやや変則的である。何しろスピード感が半端ない。
主人公であるアーサーの両親の馴れ初めをラブロマンスに、そして悲劇的な別れを大胆なカメラワークの戦闘と交えながらやや長めに使い、アーサーと母の悲しき離別の過去をしっかり描いている。
そして次の場面で一気に時間が飛ぶ。そういった構成は珍しくないことだが、幼き少年が髭面で刺青の似合うゴリマッチョとなって何かスーパーヒーローをしてる展開は一作目を見逃したような気分に陥る。
しかしストーリー上分かりづらいことになってないので無問題(モーマンタイ)。むしろ後の掘り下げを考えると、省けるところは大胆に省き、描きたいところをしっかり描いたシナリオ構成には好感を覚える。
アーサーは豪快で気さく、誰からも愛される大海原の快男児となった。海を愛し、人を愛する彼は地上侵攻を目論む海底人との架け橋となるべく海底人の王候補となる。
ストーリーはそんなアーサーの内面に焦点が当たる。人間側に海底人とのハーフである自分に悩み、そして母との離別の真相などによって覚悟や自信をつけきれず時に敗北を喫してしまう。
しかし王位継承を巡る旅を仲間と共に駆け回る中、自分のルーツを見つめ直し、救いたい人を背にしたことで、王として成長しパワフルに覚醒していく。
綺麗な映像と尺配分かつ壮大なアーサーの物語は、終盤王として覚醒したときスケールの大きいパワフル過ぎる大活躍を果たす。その様は怪獣映画そのものであり、圧倒的な力と雄大な快男児としての立ち姿は正しく英雄そのものだ。
それらの活躍がダイナミックで縦横無尽なアクションで描かれていて見応え抜群。
水中特有の浮遊感、ゆらめく衣装、ジェット噴射のような水飛沫のエフェクトに狂暴な海獣の群れ……SF染みたガジェットも多数現れ、見てて新鮮かつ全く飽きないものとなっている。
物語はアーサーだけでなく、キャラ一人一人にも掘り下げがなされている。
アーサーの異父兄弟であり、アーサーへ個人的な恨みもあるが、海を人間に荒らされ苦しむ種族の為に王となろうとするタカ派のメインヴィラン。
序盤にアーサーと因縁の生まれる海賊にも尺が使われ、復讐に心を燃やすヴィランとして印象深いキャラとなっている。
あとはアーサーに負けず劣らずパワフルなヒロイン。こちらは掘り下げがもうちょい欲しかった気もするが、時々ドジっ子なところが可愛いのでヨシ。
纏めると、見ていて爽快、気分の落ちない快男児的な英雄神話の映画だ。
欠点は今回はあえて触れないでおこう、こういったヒーロー映画にハマるのがガイア。彼はこの手の映画にドハマりする男児だからな。