秋に現る雪の妖精
紅葉、もう終わっちゃったか… と、山の麓をふらふら散策。
足元にはバッタがピョコピョコ、近づいてみればオンブバッタ。 靴が接近するたびにあわてて跳ねて逃げるけど、仲間を背負ったままでは跳びにくいらしく着地のたびにこけている。 なんだか申し訳ない…。
そこここにススキが風に揺れていて、時折聞こえる鳥の声。
特徴的な鳴き声を耳の端で聞きつつ、一本だけ離れて生えていたススキの穂を軽く叩いてみる。 風に乗り、飛びゆく綿毛、パシパシパシパシパシパシ……… 後に残るは乾いた穂の軸。
笠の裏まで黄金色のキノコに、はらはら落ちる黄色い葉っぱ、その葉っぱをつけていた木のあたりではっきりと鳥の声がする。 ピージュリ、というかピーチュリ、なのか、ずっと聞こえていた特徴的な鳴き声。 どんな鳥がいるのかと、目をこらして木を見ると
枝のあっちこっちにシマエナガ。
いつかシマエナガを見てみたいと思ってはいたけど、まさか今日、実物を目にすることになるとは。 それも沢山。
写真でよく見かける真っ白ふわふわの愛らしい小鳥、しかし正面から撮ったものが多いので、角度によって実はあまり可愛くないのでは…? と密かに思っていた。
疑っていてごめんなさい、どの角度から見ても、大変、可愛かったです。
まず驚いたのはその大きさ。 スズメくらいの大きさだろうと思っていたけれど、それよりも小さい。 羽は本当に綿毛のようにふわふわ真っ白、自然の中で暮らしていてどうやってその白さをキープしているのか不思議なほど。 これは確かに『雪の妖精』という呼び名がよく似合う。
一番近くにいたシマエナガとの距離は1メートルほどしかないにもかかわらず、逃げる素振りはまったくなかった。 枝と枝の間に腰を落ち着け、小首をかしげ、黒く丸い目でこちらをしげしげと眺めまわしてくる。 こちらは岩の上にしゃがみ込みながら見つめ返す。 他のシマエナガ達はというと、とにかく忙しない。 ちょこまかくるくるぴょこぴょこと、よく動く、動く。
こんな近くに人がいたらすぐ飛び立ってしまうだろうと思ったのに、意外にも長くとどまっていた。
『そろそろ行く〜?』『行こうかー』な、感じでパラパラ飛び去ったシマエナガ達。 いいもの見たな、とこちらも岩から立ち上がり、ふと、別の木を見るとなにやらまた別の鳥を発見。 シマエナガの後だと大きくて、ずんぐりむっくりした印象の鳥が枝の上にどっしりと乗っていた。 鳴き声も字だとどう表せばいいのかわからない、奇妙な声。 なんだろう、あの鳥? と眺めていると、望遠レンズを抱えたカメラマンがわらわら集まってきた。 何? 人気者なの???
帰ってから調べてみるとホシガラスという鳥だった。
松の種子やバッタが好物だそうで、確かにあの場所にはどちらもいっぱいあった。
今ならバッタもオンブバッタだらけ、1匹捕まえたつもりが2匹同時に捕れてラッキー! なんて、鳥でも喜んだりするのだろうか。
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