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効果的な告知とは?―ワークショップの舞台裏❶ 

ワークショップの「告知」とは?

わたしたちは、ワークショップの開催のたび、参加者募集の告知をしています。
代表的なツールは「チラシ」です。

PDFファイルにして、市内中学校などにお送りして、生徒さんや保護者の方々に配布してもらうのに適しています。
また、ポスターに拡大して、市内の図書館など、公共の場所に掲示します。

効果的なチラシ・ポスターをどう作るか?

これには、ちょっと頭を悩ませました。

わたしたちのような「学校関係者」がチラシを作ると、どうしても「真面目」なものになりがちです(汗)

情報もたくさん盛り込みたくなったりします。

確かに、必要な情報を入れるのは大事ですが、それがチラシの目的でしょうか?

不特定多数の方の目に触れ、参加意欲を喚起するのが、チラシの目的です。

でも、もとから関心のない人は、チラシに「立ち止まったり」しませんよね。

関心の「芽」がどこかにあるけれど、その「スイッチ」が押せていない人に向けて、「スイッチオン」の小さなきっかけになる―― チラシのポイントはそんなところにあるのかもしれません。

わたしたちの課題と不安

わたしたち「かがやくサイエンス」チームは、2023年9月、12月の2回、中高生を持つ保護者の方を対象にワークショップを実施しました。

中高生の子どもの進路のことで悩んでいたり、心配があったり、という父母をターゲットにしたワークショップです。

しかし、わたしたちは、「理科教室」はたくさんやってきていますが、保護者を集めての催しは初めてでした。
しかも、お題は「子どもの進路選択支援」(!)
わたしたちは、進路指導のプロではないですし、キャリア形成の専門家でもありません……。

そんなわたしたちが「子どもの進路をどうサポートしてよいか困っているお母様・お父様、うってつけのワークショップがありますよ!」と訴えても、あまり説得力はないかもしれません……。

そんな不安があったので、わたしたちは、何度も検討を重ね、試行錯誤しながら、チラシ案を作成しました。

9月開催に向けて2023年7月に作成 上は最終バージョン


ポイント1 保護者の経験・気持ちに寄り添って語りかける

「主催者の伝えたいことをお伝えする」ではなく「保護者の気持ちや経験を言葉に表す」ということを大事にしました。
「ママはどうするのがいいと思う?」――中高生の娘から質問されたけれど、自分は正しい答えができたのだろうか……。そんな母親の気持ちに寄り添った言葉を、最初においてみました。

親子で語らっている様子のイメージ写真は、娘を見つめる母親の視線(心配と期待の視線)を再現しています。

ポイント2 保護者が「自身の課題」に気づくきっかけ 

「ママはどうするのがいいと思う?」という問いかけに「立ち止まった」保護者の方は、ご自身の「課題」に向き合う心の構えができていると推測されます。チラシの中心メッセージである「幸せな進路選択のサポート」は、保護者の潜在的な「課題」を言語化したものです。ご自身の「課題」に気づいていただくとともに、ワークショップに参加することでベネフィットが得られるかも、という期待をもっていただけるでしょう。

ポイント3 保護者自身の「学び」と「変容」を促すこと

「変化の大きい時代を生きていく娘へ」という表現は、保護者の方へ「自身の価値観の相対化」を促し、「変化する現代社会」について新たに学ぶことを促しています。
このワークショップが、参加者の「学び」と「変容」を軸にしたものであることを含意しています。

まとめ: チラシの「特徴」と「効果」

わたしたちのチラシは、結果的に、あまり「学校ぽくない」チラシになりました。

イベント内容などの「事実」にフォーカスするのではなく、潜在的な参加者の「気持ちと経験」に寄り添い、「課題」を意識してもらう――そこにフォーカスしたチラシとなりました。

このチラシ作りは、わたしたち「かがやくサイエンス」チームにも、大きなメリットがありました。

チラシ制作を通じて、わたしたちは、自分たちの目指す価値がどこにあるのか、それを再確認し、言語化することができました。

チラシの効果もあったのでしょう。ワークショップには定員を上回る参加申し込みをいただきました。そして、ワークショップも非常に充実したものになりました。

もちろん、ワークショップ成功の原因はひとつではないですし、参加者の皆さんのコミットメントなしには実現しません。

ですが、わたしたちがチラシに込めたメッセージを参加者の皆さんと共有したこと、わたしたち自身が、自分たちの「価値」を言語化できたこと――こうしたことも、成功要因のひとつだったかなと思っています。

2024年度も、「かがやくサイエンス」チームは、9月と12月に保護者向けワークショップを開催する予定です。どんな新しい工夫を付け足すことができるか、今からワクワクしています(笑)

「ワークショップの舞台裏」

ワークショップの舞台裏を紹介します! ~~ というノリで、ワークショップづくりの「苦労話」から「気づきと学び」に至るまで、「かがやくサイエンス」チームで起こったことを紹介しながら、考察を連載します。
ワークショップや理科講座を実施している各機関の皆さまのお役に立てたら嬉しいです。

※ 本学は、令和5・6年度 JST「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」の採択を受けて活動しています。


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