錦糸公園と脳内報酬についての思考
昨日は夕刻から錦糸町に向かった。
すみだストリートジャズフェスティバルが開催されていることを偶然みつけたのだ。毎年、忘れていて当日、今日だったのか!と思って出かけている気がする。
Googleマップによれば、自宅から自転車で20分くらいらしかった。
寒そうだったので念の為、ダウンジャケットを持って出た。
途中、近所のパタゴニアに寄って、修理に出していた上着を回収し、靖国通りを東に向かう。両国橋をわたり、しばらすると割とすぐに錦糸町に到着した。
錦糸町駅周辺は常に混んでいるので手前で左折し、一本奥の道を錦糸公園へと向かった。錦糸公園の前の道路を右折し、信号を渡って公園に向かう。信号を渡る手前、右折したところで歩道側を30mくらい進まなければならない。前方から、坊主頭の男性、外国人ではないが外国人っぽい出で立ちの男性がずんずん歩いてくる。自転車なので車道側によったが、わざわざ車道側を「ここが俺の道だ」という雰囲気で突進してくる。なので、歩道側に避けると、すれ違いざまに悪態をついて通り過ぎていった。なんと言ったのかはわからないがポジティブな言葉ではないことはわかった。この男性はありとあらゆる場面で己に理があることを盲信し、しがらみがない環境下では、自己中心的な行動と言動を最優先させた接近行動を行うことで「脳内報酬」としてドーパミンの分泌が誘発されるように報酬学習を行ってきたのだろう。
錦糸公園に入ると、例年よりもかなり気温が低いと感じた。
早速、持ってきたダウンを羽織り、ぐるりと回ってみると子供連れの数は少なく、おそらく気温が低いのではやめに帰った人が多いのではないだろうか、クラフトビールの店がならぶ飲食スペースに設置されたテーブルも空きが結構あった。
露天では温かい飲み物が販売されていなかったので、近くの商業施設にあるコンビニに温かいお茶を買いに言った。コンビニ(セブンイレブン)のレジには半袖の女性と高齢の男性が並んでいる。老人は矢印で示された列の表示から外れたところに並んでおり、半袖の女性を先に通し、女性の後にレジに向かった。レジは4つあるが2つしか稼働しておらず、入口近くのレジでは巨大な段ボールの荷物を4つくらい発送しようとする男女が陣取っており、全く機能していない様子だった。半袖の女性はレジに設置されている加温機を示し、肉まんやあんまんを4つ購入した。そのため、老人はしばらくレジで待たなければならず、老人は待機の長さに対してブツブツと独り言を言った。老人は600mlくらいのポカリスエットのペットボトルとクリームパスタらしき惣菜を台におき、ペットボトルのキャップを開けてくれ、とレジの男性に伝えたようだったが、老人はマスクをしているため滑舌が悪いのだろう、男性は意味がわからなかったようで少し困惑していた。幾度かやりとりが続いて、ようやくペットボトルのキャップの開栓を要求しているのだと理解したようで、キャップを開けて老人に手渡した。老人はパスタを温めるようにリクエストした、その作業を行いながら、男性は次に並んでいた自分の決済を行ってくれた。5秒くらいで決済は終わった。
会場に戻ると、ちょうど、最後の「TRI4TH」のステージが始まるところだった。同バンドのステージをすみだストリートジャズフェスティバルで最初に観たのは随分前だ。当時は、メインステージがいまの飲食スペースあたりにあって、少し離れた場所にメインほど大きくない中規模のステージがあった。メインステージの演奏が終わった後の帰り道、こちらのステージでは「TRI4TH」が演奏が続いており、軽快な音楽と夜空とが相まって心地よかったのを覚えている。その何年か後、彼らはメインステージのトリをつとめていた。
昨夜も「TRI4TH」が最後の演奏であった。
それもあって、最初に聴いたときのことを思いながら、ステージを観ていた。
かなうなら、初めてすみだストリートフェスティバルに来た時の、外れの小さいステージでの演奏をもう一度、観てみたいと思った。
Vision Proで撮影されていれば、あのステージを再訪することも可能なのだろう。数年内に環境ごと映像を記録することは可能になるだろう。また、撮影された映像を環境ごと再体験可能なデバイスもミドルクラスのパソコン程度の値段で買うことができるようになるのだと思う。
追体験にどれだけの価値があるのか、また、追憶に浸ることの是非はあるだろうけれど、人の思考が記憶ベースで展開される限り、ふとした拍子であの時のあの場面を観てみたいな、と思うことはあるはずだ。
過去は新しい体験ではないのだろうけれど、視聴する自己は変化しているわけであり、常に新しい発見はありそうな気がする。新しい体験の方が情報価値が高いのは、脳内報酬の獲得コストの問題な気もする。追体験によって初回よりも大きな脳内報酬を得ることは困難であるが、経年による記憶の醸成がより大きな脳内報酬をつくる場面もでてくるのではないだろうか。
そんなことを考えながら帰路についた。
帰り道は真冬とは言わないが風は肌寒くダウンでちょうどよい気候であった。