防災地下神殿という名のダンジョン
先日、防災地下神殿を視察した。
「首都圏外郭放水路」が正式な名称である。
1993年(平成5年)3月に着工し、2006年度(平成18年度)に完成した。
大雨によって、中小河川から溢れた水を地下に取り込み、江戸川へと流すのがその役割である。放水路が整備されたことによって洪水などの水害は大幅に減少し、現在は年に7回程度稼働するとのことであった。
基本的な構造はこうだ。
中小河川に沿って作られた立坑と呼ばれる筒状の巨大な空間に水を貯める。それぞれの立坑はトンネルによって接続されており、5つある立坑があふれると地下神殿と呼ばれる調圧水槽に水が貯水される。神殿に水が一定量貯まるとポンプで江戸川に排水される仕組みである。
調圧水槽のビジュアルがダンジョンに似ているため地下神殿と呼ばれる。サイズとしては長さ177m、幅78m、高さ18mという巨大な地下空間である。空間を支えるのは59本の巨大な柱だ。
幅2m、長さ7m、高さ18m、重さ約500トンのコンクリート柱が並んでいる様子は確かに神殿を彷彿させる。
地下神殿はドラマのロケなどにも利用されており、近年では「翔んで埼玉」のロケに使われたことで有名になった。
視察するには予約制のツアーに申し込む必要がある。
ウェブサイトからコースと日時を選択し、申し込む。現地での支払いも可能である。
ポンプ施設から200mほど離れた小さな入口から階段を降りていくと巨大な地下空間が現れる。地下はひんやりと涼しく、気温は18℃である。地上との温度差が15℃くらいあるので訪問時は上着を持参するとよいだろう。
簡単な説明の後、地下空間を自由に散策しながら撮影を楽しむ。
しばらくは巨大空間に圧倒されていた。
徐々に慣れてくると、なるほど、ダンジョンに潜るのもこんな感じで慣れてくるんだろうな、と思った。
水槽に水が貯める際には大量の土砂も蓄積する。
土砂が溜まった際は地上からブルドーザーをクレーンで搬入し、土砂を除けるとのことであった。
高い天井をみあげていると海外で訪れた教会のカテドラルを思い出した。
電車で訪問する場合、春日部駅からアーバンパークライン乗り換えて南桜井駅から約2kmを歩く必要がある。猛暑の中を歩くのはおすすめできない。行きはバスのタイミングが合わないケースが多いと思うので駅前に待機しているタクシーを使うとよいだろう。帰りは、一時間おきに駅まで運行しているコミュニティバス(クレヨンしんちゃん仕様のバス)が走っているのでこれを利用するのがおすすめである。