シーズン前に危険な芽をつみ取っておく@剱岳
6月某日、剱岳。
雪たっぷり、しかし良い感じに安定している剱に一人でやってきた。
今回の目的は表題のとおり。
ここ最近、某バリエーションルートの支点で気になる箇所があったのだ。
それは「下降支点」になるものなので、崩壊すれば重大事故に直結する。
報酬はもちろんどこからも出ないが、誰かがやらねばならない「仕事」だ。
八ツ峰の峩々たる岩稜。
氷河の作用による、素晴らしい尖峰。
これは、日本を代表する岩稜という評価で異論はないだろう。
危険な「通勤路」を通って、現場到着。
僕が気になっていた「危険な支点」の改善作業は、ものの1時間で終わった。
なおこの下降支点の場所の通過に関しては、「クライムダウンもできる」という意見もある。
しかし、そのクライムダウンは、サイズを擁する。
つまり身長の低い人には危険なクライムダウンになる。
また、良く現場の岩を観察すると、そのクライムダウンのラインは大きな岩のチョックストン形状なので、未来永劫安全なラインともいえない。
「ここで事故を起こさない、発生させないにはどうするか?」という発想が、少なくとも今回のような比較的多くのクライマーがやって来るルートでは必要であろう。
帰路、長次郎谷で氷雪でできた6月限定の『八ツ峰9峰』を発見。
自然は時に、僕ら人間が「クスっ」となるような造形も演出してくれる。
「今年は、どんな夏になるかな?」
コロナ禍もおさまりつつあり、梅雨も記録的な速さで明けた。
今年は、登山者も多く来るだろう。
そんななか、安全第一でお客様にとって素晴らしい登山の一助となるようなガイドを心がけていきたい。
山岳ガイド 香川浩士
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