剱岳・池ノ谷の中枢へ。(池ノ谷右俣〜中央ルンゼF3〜αルンゼ〜R2〜池ノ谷左俣)

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(真ん中、剱尾根末端。左、池ノ谷左俣。右、池ノ谷右俣。)

僕は、ホームページの最初のページに「剱岳の山岳ガイド」と名乗っている。大学山岳部時代に剱岳と邂逅してからかれこれ20年以上。その間ずっと剱と共にあった。

学生時代に剱の有名岩壁ルートは一通り登り、社会に出たら富山県警の山岳警備隊に入り、数々の訓練、救助活動を行った。そしてより純粋に剱と関わりたいとの思いから公務員を辞職し、剱岳をガイドできる山岳ガイドになって現在に至る。

前置きが長くなったが、「剱岳の真価は何処にある?」と聞かれたらボクは「池ノ谷」と即答する。先週末、ボクは相棒と2人でこの池ノ谷の最奥部を目指した。

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細く見える右俣も、中に入ればこの通り幅広のスケール感(バックは剱尾根)。

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上部に行くと傾斜が出てくる。左俣より確実に急だ。

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中央ルンゼF3。お決まりのように雪渓が危うく割れている。まずここを進むのか、敗退か?行くならラインは?豊富な雪渓処理の経験と、フリークライミング能力も必要だ。

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苦労してF3を超えた後は、ワンミスも許されない傾斜をダガーポジションで登行。

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残雪期の早い時期ならアイスクライミングの対象となる中央ルンゼF4も今は真っ黒なので、αルンゼへと向かう。周辺の岩壁ルートも残置支点は真っ茶色に腐食し、衝撃荷重には耐えられないだろう。

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写真ではコルBまで雪が繋がっているようにも見えるが、実際は複数箇所で切れているから厄介だ。

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コルBに到達して勝負あり。あとはR2を懸垂下降2回で安定の雪渓上へ。

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安定の池ノ谷左俣を、我らの幕営地へ向けて下っていった。

※今回紹介したルートは、全て危険度の高いバリエーションルートとなります。このエリアに行くことをお考えの方は、しっかりとした実力を持つ仲間や山岳ガイドと共に行くことをお考えください。

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