冬山は危険も多い。だからこそ、「冬山の技術」を身に付けて挑戦しよう。
2021-2022の冬山シーズンは例年より積雪量も多く、いわゆる「冬らしい冬」になっている。また何回か強い寒気の流入を伴う悪天候時を中心に、遭難事故が多発している印象だ。
ニュースで冬山遭難を見るにつけ、心が痛む。また一般人のコメントなどをみると、決まって厳しいものが多く、それを助けに行く救助隊の身を案じるものがほとんどだ。
僕ら山を生業にしている者たちは、それらある種「辛辣な」コメントをスルーしてはいけないだろう。登山に興味のない世間の人からすると、冬山に自ら登って事故を起こし、救助隊に「助けてください」と言って金も払わないなんて、とんでもない奴らだという認識だろう。
じゃあ、冬山登山を諦めてしまう?
それも一つの手だけれど、冬山登山という行為はそんなに「チープなもの」ではないと個人的には信じたい。
そこにある魅力、素晴らしさというものは確かにあって、それを一から説明しようとは思わないけれど、同じように冬山を目指す「同志」には、言葉をずらずらと並べる必要のない共感があると信じている。
前置きが長くなったが、じゃあどうすればよい?
答えはシンプルで、身体を鍛え、冬山用の技術を学び、身に着けよう。
そこから無理のないステップを刻みながら冬山に向かい、経験を蓄え、この行為の素晴らしさを享受しよう、と言いたい。
以下、山岳ガイドとして、今冬シーズンの雪上講習を中心にご紹介したい。
初冬の室堂での雪上歩行(11月)。
まさにシーズン初めなので、その時期的要素が最大のメリット。(寒気順応も兼ねて)
後立山連峰、八方尾根での雪上講習。
1泊して初日に講習。2日目に唐松岳にアタックという形(この時は天候悪化でアタックせず)
某低山で、ビーコンサーチトレーニング。
雪崩捜索に関する知識、トレーニングに要する時間は膨大で、とても1日で済むものではありませんが、かといって何もしないわけにもいきません。最低限のものは必要でしょう。
(プロとしてのスキルや山岳会のリーダークラスなどのレベルで講習を受けたい方には、JAN(日本雪崩ネットワーク)の各種講習をお勧めします。)
雪の斜面を登ったり下りたり。ピッケル&アイゼンのコンビネーション動作の基本をお教えします。
ワカンを履いてのラッセル登行。
雪壁へのアイゼンの蹴り込み。
岩場での、アイゼンの前爪を使った立ち込み。
滑落停止(ピッケルストップ)。
「お金を払ってでも、冬山の技術を学びたい!」
そんなやる気に満ち溢れた若者もいる。
そんな時は、僕も全力でその期待に応えようと努力します。
若者の未来に幸あれ!!
(山岳ガイド 香川浩士)
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