退屈は創造の母、もっとぼーっとして生きよう!

今、日本中の子どもたちが、暇を持て余しています。
困ったことです。
しかし、大きなチャンスだ、と見る変人もいます。

「人は何もしないでぼーっとしているとき、ユニークなアイデアや問題を解決する方法を思いつく」という仮説があるのをご存知ですか?
未来学者のリタ・キング教授が「創造のための退屈」と名付けている学説です。

創造性の定義にはいろいろあるけれど、脳内でまったく新しい結びつきが生まれることだとすれば、
「それにはちょっとした助けが必要で、退屈することこそが、絶好のきっかけになる」、という学説です。
リタ教授は言います。
「みんな誤解しているんです。アイデアを出すには、高揚感が必要だと。」
アイデアを生むには、いくつもの小さなステップを経なければいけません。
それは、ひどくつまらないものです。
たいていはいやになって、放棄してしまうものです。
この創造のための退屈は、「ToDoリスト」を消していく達成感と比べたら、月とスッポンです。
『それでも、この退屈を受け入れ、ぼーっとする時間をもつようにすれば、ひらめきの瞬間が訪れるはずです。』と教授は主張するのです。

たとえば、洗濯物をひたすら畳んでいるときなど。
もちろん、この時間は、決して生産的じゃないような気がしますよね。
しかし、実は、脳は活発に働いているんだそうです。
いわゆる、心がさ迷っているとき、「デフォルトモード・ネットワーク」という脳の部分が活動しているのです。
そして、この部分は、問題の解決やアイデアの創造と深く関わっているのです。
別の解説によると、自分が住んでいる世界や人生の意味を理解する活動です。
また、未来への目標を立てることをサポートする活動です。
その他、まわりの人の立場を理解して共感すること、道徳的な判断をすることも、この脳の中のネットワークが受け持っています


このデフォルトモード・ネットワークのことを別名「イマジネーション・ネットワーク」と呼ばれているのも意外じゃありません。

だから、退屈すると、「もし、こうだったとしたら?」と想像できるようになるのです。
これは、クリエイティブな活動だけじゃなく、心の健康や人としての成長のためにも、欠かせない問いかけです、と教授は力説します。
ヨーク大学の認知神経科学教授で、マインドワンダリングに詳しいジョナサン・スモールウッド博士はこう言っています。
「独創性や創造力と、ぼーっとしているときにふと浮かぶ発想は、非常に深いところで密接につながっています。」
つまり、ひらめくためには、意識的に退屈する必要があるのです!!

先日書きました、イギリスのニュートンの発見した万有引力だけでなく微分積分法、光学理論を加えた「三大発見」と呼ばれる偉業は、いずれも郷里にぺストの大流行で、田舎に疎開中にその礎を築いたものです。
25歳に満たない頃です。
大学が閉鎖されケンブリッジ大の全寮制カレッジで学んでいたニュートンも帰郷せざるを得なくなったんです。その間、先輩に気を使う必要もありませんでした。
郷里は東部の寒村です。たっぷりと暇を持て余したことでしょう。

さあ、チコちゃんを叱ってやりましょう。「もっと、ぼーっとして生きなさい!」と


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