書評:実験のための溶媒ハンドブック
読んだ本
池上四郎 編著、実験のための溶媒ハンドブック、第1版、丸善、1990年、168頁.
分野
実験化学、有機化学
対象
実験系研究室のB4~M2
評価
難易度:無評価(実験書のため)
文体:無評価(実験書のため)
内容:悪 ★★☆☆☆ 良
総合評価:★★☆☆☆
わざわざ買う必要はないが、地味に使えなくもない
内容紹介
本書は、溶媒の重要性と知識を最小限にまとめて提供することを意図した。理学、工学、農学、医学、薬学にわたり、最もよく使用するであろう有機溶媒に絞り、その内容も必要最小限に止めた。(引用:実験のための溶媒ハンドブック / 池上 四郎【編著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp))
感想
当書は1つの溶媒を1, 2頁で簡素にまとめたものである。基本的に以下に示す凡例に倣ってまとめてある。
名称
分子式・構造式・分子量
精製方法:実験では度々市販の溶媒を精製しなければならない。ただ、膨大な量の溶媒に対して適切な精製法を選択することは学部生、修士生にとって容易なことではない。本項目では、溶媒が工業的にどのように作られ、結果としてどのような不純物が含まれているか、またそれ故にどの程度の純度が期待されるかから話が始まり、溶媒に対する適切な精製法が記載されている。注意点として、精製法はあくまで方法を述べているだけ (CaCl2で脱水する、程度) であり、詳細な実験手法が記載されているわけではない。実験手法が知りたければ、きちんとした実験本を参照せねばならない。
物質的・化学的性質:融点、沸点、密度、屈折率、引火点、燃焼限度、限界域値、最小発火点、比旋光度などがまとめられている。ほかにも色やにおい、分解性、溶解性、吸湿性などに吸湿性などに対する記述がある。
毒性:意外と毒性を知らずに使っている溶媒も多いので、何かと勉強になる。(といって使わないわけにはいかないのでどうにもならないが)
取り扱い上の注意:発火性など、気を付けなければならない特性について書かれている。
保存方法
安定剤・乾燥剤
令和の世の中、情報はネットであふれかえっているので、調べれば出てくる情報ばかりと言えばその通りである。しかし、あふれかえっているからこそ、こういった基礎的な情報が見つけにくくなっている。令和だからこそ、遺物のような当書は価値があるのかもしれない。
購入
どこで手に入れたか全く覚えていない。マニアックすぎて、現在では入手困難なようである。だが無理して手に入れる本でもない。