種子島 ロケット見学ガイド
種子島でのロケット見学についてご紹介します。
スケジュール決め
スケジュールを確保しましょう。天候不順などで延期することも多いため、予定日から数日追加で滞在できると良いかもしれません。
また、予定していた移動方法が急に使えなくなることもあります。二重三重に保険をかけ、余裕のある計画にすると安心して臨めます。
宿泊場所とレンタカーの予約(最優先)
打上げ予定日が発表されてる場合、何よりも先に宿泊場所とレンタカーを予約してください。打上げ日が発表されると次々と埋まっていってしまいます。
内容が偏っていますが私がオススメする宿や、種子島のレンタカー事情について書いたノートをご用意しておりますので、よろしければどうぞ。
ロケット打上げ見学場選び
見学場は一長一短でどの場所が一番とは一概に言えません。自分の目的に合った場所を選びましょう。いくつかおすすめの場所をご紹介いたします。掲載している写真は概ね同じカメラとレンズを使用しています。
宇宙ヶ丘公園
大崎射場から西に7.2km。市街地に近い公式見学場です。手前に山があるので機体の根元は打ち上るまで隠れています。また、早朝には逆光になります。
長谷展望公園
大崎射場から北西に6.4km。市街地に近い公式見学場です。第1射点からの打上げの場合(H-ⅡAロケットの場合)、機体は打ち上るまでVABと重なります。また、早朝には逆光になります。
恵美之江展望公園
大崎射場から北に3.1km。最も近くから見ることができる公式見学場です。ただし事前抽選制なので必ず利用できる場所ではありません。抽選申し込みは南種子町のHPなどをご確認ください。また、正午前後だと逆光になります。
ちなみに公式見学場がある南種子町はふるさと納税の返礼品として、見学優先席や年間パスポートを公開していることがあります。公式X(旧Twitter)でお知らせされるので、フォローしておくと良いかもしれません。
恵美之湯
大崎射場から北に3.5km。恵美之江展望公園近くの宿泊施設です。宿泊客以外も駐車場代2000円を払うことで敷地内で見学することができます。非公式ではありますがJAXAやIHIの職員の方も訪れ、拡声器でカウントダウンしていただけます。こちらで見学を希望される場合はお電話で予約しましょう。恵美之江展望公園と同じく、正午前後だと逆光になります。
その他のスポット
個人的に最初は公式見学場がオススメですが、他にも良い見学場所は公式・非公式問わずあります。ご自身の目的にあった見学場所を探し出してみて下さい。
余談
飛行中の飛行機から飛んでいくロケットを見ることもできます。
ロケット打上げ見学
打上げ前後の見学イベントを時系列順でご紹介します。
機体移動(打上げ半日前)
打上げの半日前にはロケットの射点への運搬作業を見ることができます。「大型ロケット組立棟(VAB)の大扉の開閉」「ロケットの搬出」「射点へ移動していくロケット」と見どころは沢山。打上げ見学をする際は機体移動も合わせて是非ご見学ください。
機体移動の時間は20分間程度。いつ始まるかは当日発表されるので情報収集しておく必要があります。打上げ日時が確定した段階で機体移動の時間帯に目星をつけておき、当日は近隣で観光しましょう。
見学場所には小型ロケット発射台付近、ロケットの丘などがおすすめです。VABの開閉が見たい場合は小型ロケット発射台付近、より近くで見たい場合はロケットの丘が良いと思います。
陸上立入規制(機体移動後)
機体移動後~打上げ後に射点から3km圏内とJAXA関連施設は立ち入り禁止になります。道路も規制されます。陸上立入規制の範囲内には広田遺跡などの観光地も含まれているため、スケジュールを組む際は十分考慮しておきましょう。
打上げ見学🚀
事前に見学場のどこから見ると良いか調べておき、当日は余裕をもって見学場入りすると良いと思います。
見学場は見晴らしがよく、周囲に遮る物が無いので、天候の影響をとても受けやすいです。当日の天候に適した服装、傘やレインコート、カイロや飲料水などを用意して快適で安全な見学をしましょう。持ち物などについて書いたノートをご用意しておりますので、よろしければどうぞ。
大崎海岸入口門扉開放(打上げ90~180分後)
打上げ90~180分後に大崎射点近くにある大崎海岸の門扉が開放されます。この時間はその時々に依るのでSNSか現地で事前に確認しておきましょう。陸上立入規制が解除されても門扉は閉鎖されたままの可能性もあります。
打上げ後に大崎海岸を訪れるメリットは射点に残った移動発射台や、放水で濡れた射点付近、射点から吹き飛ばされ砂浜に落ちている断熱材などを見られることです。打上げ後にしか見ることができない貴重な景色ですので、打上げの際は直ぐ帰らずに是非立ち寄ってみてください。
大崎海岸入口門扉から吉信第1射点までは片道で800mあります。砂浜を往復1.6km、しかも途中には川(轟川)を渡る場合もあるので、体力と履物にはご注意下さい。
入口門扉を通った先に駐車できるスペースがあります。現地に注意書きもありますが、砂浜まで降りてしまうとスタックする可能性があるのでご注意ください。
夜光雲(打上げ後)
ロケット打上げ後の空には夜光雲という雲が発生することがあります。日の出、日没の前後が見つけやすいそうです。打上げ後に空が晴れていたら是非探してみて下さい。また、条件が良ければ関東など離れた地域からでも見ることができます。
その他の情報
打上げ日の予測
打上げ予定日の発表直後は移動手段、宿泊場所、レンタカーの予約で忙しくなるため、予測をたてて心構えだけでも準備しておくと良いと思います。
以下の8点が打上げ日の予測に有用な情報です。
公式発表やニュース
種子島への機体や衛星の搬入状況
VABで組み立てられるロケットは同時に2機
組立から打上げまで最短で2ヵ月程度(H-ⅡAの場合)
組立から打上げまで最短で1ヵ月程度(H3の場合)
予備日も含めて打上げの予定期間は3週間程度設けられている
打上げ発表は遅くても1ヵ月程度前
内閣府の宇宙基本計画
朝・日中と夜の違い
打上げは朝・日中と夜で2種類の楽しみ方ができます。朝・日中は空に伸びるロケットロードを見ることができますし、夜は真夜中でも煌々と種子島を照らすロケットを見ることができます。私がお話した現地の方は「夜」を推されていました。打上げ時刻で見学するかどうか判断するのも良いと思います。
打ち上げる方角
ロケットに積載している衛星や探査機によって打ち上げる方角が変わります。詳しい解説は割愛しますが、静止軌道衛星や深宇宙探査機の場合は東打ち、極軌道衛星の場合は南打ちになります。
打上げ見学においては、過去の写真や映像を参考にして同じように撮ろうとしても、打ち上げる方角が違う場合には思ったように撮れないこともあります。
打ち上げる方角は海上保安庁のHPから確認することができるので、凝った写真を撮りたい場合は事前に確認しておきましょう。
延期について
どれだけ青空が見えていようとも、機体移動後でも延期する時は延期してしまいます。最後は運です。延期の際はJAXA、三菱重工、南種子町が情報を配信します。気象条件が好ましくない場合や、機体トラブルがある場合は諦めるしかありません。
延期後の動き(燃料充填前)
事前に天候不良等で延期が決まった場合、打上げ日時(ウィンドウ)は回復の見込みがあれば翌日~数日後に再設定され、回復の見込みが無ければ大幅に変更されます。機体トラブルがあった場合は解決するまでウィンドウは設定されません。
延期後の動き(燃料充填後)
燃料充填後に延期になった場合は、充填された液体燃料を抜いて再びVABに戻されます。その後、点検も行われるのでウィンドウの再設定まで日を要します。機体トラブルがあった場合は解決するまでウィンドウは設定されません。
天気予報
打上げは気象状況に左右されます。打上げ前日~打上げまでの24時間の天気が問題ないか小まめにチェックしましょう。射場には避雷針がありますが雷の予報が出ていたら基本的にアウトです。また、打上げ当日が良くても機体移動がある前日の予報が芳しくなければ高確率で延期になります。天気の確認にはJAXAや協力企業が出している天気予報を活用しましょう。
不安な時は10日前あたりから予報を見ましょう。
作品に登場する打上げ
ロケットの打上げは種子島を舞台にしている多くの作品で描写されています。好きな作品と同じ時間帯、同じ場所で見学するのも面白いと思います。
秒速5センチメートルでH-Ⅱロケットをモデルにした打上げが描写。作中では夕方に増田の路上で見学。
ROBOTICS;NOTESの回想シーンとオープニングムービーでH-ⅡAロケット17号機の打上げが描写。作中では朝に宇宙ヶ丘公園から見学。
ROBOTICS;NOTES Pleiades Ambition最終話でH-ⅡAロケット21号機をモデルにした打上げが描写。作中では夜に宇宙ヶ丘公園から見学。
ROBOTICS;NOTESのアニメ最終話で架空のロケットの打上げが描写。作中では日中に恵美之江付近から見学。
宇宙兄弟でアマテラスⅠ(架空のロケット)の打上げが描写。作中では日中に竹崎展望台から見学。
ロケットや衛星の陸送
ロケットや衛星は製造後に船を使って種子島の島間港に運搬され、その後、種子島宇宙センターまで公道を使って陸送されます。
日程は現地の交通規制の看板から確認することができます。
おわりに
この記事が少しでもご参考になったら嬉しいです。
それでは、のっちよー。