惨めを絞って多くの汁が出る死者は多い 2023/09/21
言葉にできないことをあえて言葉にしようとする。これは訓練だから。
毎日が悲しいことにまみれているのだけど、中でも悲しいことは、忘れられずにずっと残っている。
これまでの一番は、多分他人からしたらどうってことないことだ。でも悲しみなんて大概他人にとってはどうってことないことに決まってる。
自分しかわからないから、余計悲しいに決まってる。
昨日素っ裸フェイスパック仁王立ちっていうこの世の誰にもみられたくない姿で髪を乾かしていたら、気づいたら秋江くんがそこの冷蔵庫でオレンジジュースを飲んでいた。
私は、山崎邦正みたいになっていた。というのも、パックの液と汗が混ざって右目に落ちてきそうになっていて、しばらく前から片目をつぶっていた。
油断していたからお腹に力も入ってなくて、胸より腹が出てるくらい、しょうもない体型で。
それで片目をつぶったまま、秋江くんの方を見て、すごく動揺して、「ごめん」となぜか謝った。
「あっちの部屋すごい暑いんだけど」
と言われてもう一度謝った。
それっきり。
私が髪を乾かしてスキンケアして眠りに行ったとき、秋江くんはすやすや眠っていた。
起きたら、「うるさくていいから寝室の扉は閉めないでほしい」と言われた。
「いびきうるさすぎ」
とも。
すごく惨めだった。
セックスの相手じゃなくなって、ただのおばさんになるって、これだけ悲しいんだ。
私は秋江くんと恋人になりたいんでもセフレになりたいんでも、ない。でも、女としては扱われたかった。ブスでもせめて抱ける水準ではいたかった。
今までで一番悲しかったと思う。
そんなことで繋がりたいわけじゃないのに。そんなのわかってるのに。
働く。働く働く。
お世話になっております。ってパソコンで打とうとすると、オッセオインテグレーションって出る。ずっと。
秋江くんから100マンいる?と言われて断ったら爪が甘いと言われた。
自分の強みが浮かばない。転職してなにになる?わからない。なにも。秋江くんに読んでもらうのがプレッシャーだ。私には強みなんかひとつもない。
喉が痛むからだからイビキをかくのかと思ってプロポリスリッチスプレーを頼んだ。
秋江くんに見られるのが恥ずかしくて、会社宛にしたら部署名が長くて名前まで入りきらなくて、誰の荷物かわからないから回覧されるはめになった。恥ずかしかった。
喉にシュッとするやつかと思っていたら、飲み物にシュッとするやつだった。強烈なハチミツの匂い。でもおいしい。
秋江くんが映画をみる。好きな本を読む。絵を描く。その全てがとても大事で愛おしくて私は何かで貢献したくて、でもそんなものはいらないだろうとわかっていて。それでもやっている。
仕事中、秋江くんと、ぬいぐるみの写真を、何度も見たくなる。
クレームがきた相手先が、次の取引先の母校。
何を食べたいかわからないが腹は減る
でぶ。でぶ。でぶ。
エレベーターを出る時に閉めるボタンを押しながら降りるやつは馬鹿だ。お前の腕で安全装置が作動してるんだよ。ポーズだけとってんなよ。
自分の小説は、面白くない。
人間ってどれくらい無理がきくんだろうか。
おばさんになって乳が大きくなるのは脂肪が増えてブラジャーに寄せられる量が多いからだとよくわかった。
私のGカップなんて、おっぱいじゃない。贅肉。
生理2日目で22時に会社をでる。出社は8時半だった。
それってえらい?えらければ誰か褒めてくれる?いいことがある?でもブラックの上にはブラックがいるし、偉くもなんともないのはわかってる。ごめん。ごめん。
2023/09/21 2231
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