鍼灸という治療に初めて出会って感動したときの話
筆者が初めて鍼灸に出会い、鍼灸の素晴らしさを知った時の話をしよう。
それは、体が小さくひ弱な筆者が、合気道の小手返しという技をかけられて手首をひどく痛めた時だった。
当時、初心者だった私は(今も初心者だけど)、何をされたのかわからないまま、無防備に手首を折る技をかけられて、手首を痛めた。
もう、言葉には言い表せないような激痛で、その日は腕を抱えて悶絶し続けた。
数日たっても手に力は入らず、痛めた方の手で蛇口をひねることなど、全くできなかった。
そんなある日、同じ道場で鍼灸の心得のある人が、私の怪我の事を知り、「ちょっと、腕を見せて」とだけ言われた。
私は何をされるのか、全く分からず座っていると、彼が突然、鍼で私の腕を刺したのだ。
刺された瞬間、腕を痛めたときの激痛が腕全身に走ったのだ。しかも、何をされるのかを理解していなかったので、本当にわけがわからなかった。
その激痛が走った後、激痛は重さに変わり、とても大きな石が私の腕に乗っているかのような状態になったのだ。
何が起こったのかわからず、腕を見てみると、針金よりも細い鍼が1本刺さっているだけだった。
そして私はそのまま、彼に言われる通り、重くて重くてたまらない腕を抱えながら小一時間、うずくまるように座っていたのだった。
その後、彼が鍼をすっと抜いた瞬間、急に腕が軽くなると同時に、大方の痛みが引いてしまったのだ。
そして、手首の痛みはまだ残ってはいたけれど、生活に支障のない程度には動かせるようになったのだ。
私はわけがわからなかった。
いろんな病院に相談に行ってみたが、「骨は折れてないね。じゃあ、シップ出すから貼っておいて」としか言えないヤブ医者にしか出会えなかった。
もう、どうしてよいかわからず、困り果てていた時だったのだ。
しかし、目の前の人は、細い鍼一本だけで、一瞬で私の腕を直して見せたのだった。
こんな凄い医療技術があることを知って、私は心から感動したのだった。
鍼灸への感動と尊敬は今も変わらない。
日本には鍼灸師が数多く存在する。
日本という国には、あまり知られていない素晴らしいものがたくさんあるのだ。