野村証券が国債先物の相場操縦による課徴金納付命令の勧告について透けて見える日本政府の陰謀

2024年9月25日に証券取引等監視委員会が野村證券が長期国債先物取引によって相場操縦取引を行ったとして、2,176万円の課徴金納付命令の勧告を行ったと、証券取引等監視委員会が発表した。

証券取引等監視委員会の発表によると、野村證券が行った違反行為たる相場操縦取引の内容は下記の通りだ。

令和3年3月9日午前8時45分49秒頃から同日午後2時16分59秒頃までの間、大阪取引所において、最良売り気配あるいはこれに劣後する価格に複数の売り注文を重層的に入れて売り板を厚くした上で、同先物を下値で買い付け、又は、最良買い気配あるいはこれに劣後する価格に複数の買い注文を重層的に入れて買い板を厚くした上で、同先物を上値で売り付けることを交互に繰り返すなどの方法により、合計2466単位の売付けの申込みを行うとともに合計462単位を買い付ける一方、合計1619単位の買付けの申込みを行うとともに合計462単位を売り付けるなどし、もって、自己の計算において、同先物の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、大阪取引所における同先物の相場を変動させるべき一連の市場デリバティブ取引及びその申込みをしたものである。


今回出されたものは「勧告」というもので、いわば、「行政処分」と言われるようなものほど重いものではないが、行政罰のひとつである。
だが、問題はその中身である。

証券会社のトレーダーたちは様々な種類の取引を行っているが、実務的に非難されるべき取引は他に山ほどあり、今回摘発された取引は比較的グレーゾーンに位置する取引である。
つまり、非難しようと思えば非難できるものの、他に非難すべきものはたくさんある状況なのである。
更に、似たような取引はたくさんあるにも関わらず、何故か今回、勧告の対象となった取引は2021年3月9日午前8時45分49秒頃から同日午後2時16分59秒という、たった一日の取引のみを対象とされたことだ。
そして、課徴金も2176万円という少額だ。

なお、2022年に摘発されたSMBC日興証券の相場操縦では7億円の罰金に、追徴金が44億円となっており、担当役員は刑事罰に問われ、懲役刑を食らっているが、今回の摘発はそもそも課徴金の桁が2桁違うことがわかるだろう。


では、何故このような処罰がなされたかは、過去に似たような事件の背景から今回の事件の真相も見えてくるのである。
過去に有名な不祥事事件を目の前で目撃して来た筆者が、過去の事例を踏まえて解説する。

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