アメリカ連邦地方裁判所が出した検閲禁止の仮り差止命令の内容とは
アメリカで2020年頃より問題となっていた政府が主導していた検閲について、アメリカの連邦地方裁判所が2023年7月4日に検閲を禁止する仮り差止命令を出した。
その裁判所命令の中身とは具体的には、2021年1月20日に誕生したアメリカ民主党のバイデン政権に対する「私企業やNGO団体を利用した政府機関による検閲禁止命令」であった。
「私企業やNGO団体を利用した」というのは、検閲を広範囲に大規模に行うために、アメリカの複数の政府機関がそれぞれに主導し、あるいは連携して、複数の私企業に対して検閲の命令を出し、実際には私企業が検閲を実行するというものである。
これに関与したとされる政府機関は以下の機関であった。
・HHS:アメリカ合衆国保健福祉省
・NIAID:アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(コロナ感染対策)
・CDC:アメリカ疾病予防管理センター
・アメリカ統計局
・アメリカ司法省(下部にFBI連邦捜査局がある)
・大統領府(下部にコロナ対策室など)
・ホワイトハウス報道官
・DHS:アメリカ合衆国国土安全保障省
・アメリカ国務省
これらのアメリカ政府機関の全ての関係者はGoogleなどのインターネット企業や、Twitterなどのソーシャルメディア企業に対して接触をすることを原則禁止とする仮り処分命令が連邦地方裁判所より出されることとなったのだ。
なお、「原則」となっているのは、通常行われる犯罪対策などについては引き続き行って良いという趣旨のようだ。
検閲というのは通常、政府などの公的機関が行うことが想定される。
そのため通常、私企業が自主的に検閲的な事をした場合、「言論の自由が守られなければならない」という憲法の精神を元にして、公序良俗違反になる。
だが、公序良俗違反程度なので、強く非難されるものの、検閲的な行為に対する直接的な検閲禁止というのは、私企業に対しては行うのが難しい。
しかし、実際に検閲を実行していたのが私企業だったとしても、それを公的機関が主導していた場合は話が大きく変わる。
実際に公的機関が検閲をするという形をとらず、形式的には私企業が検閲をするという法的にはギリギリの行為を行い、実質的には公的機関が検閲を主導する形態をとるということが行われており、これが今回の裁判所命令で「私企業やNGO団体を利用した政府機関による検閲禁止命令」となった背景である。
実際に先に挙げた政府機関がそれぞれ、民間企業や民間のNGO団体に「誤情報取り締まりのための補助金」という名目で多額の税金が支払われ、政府機関関係者からTwitter社などの私企業に検閲の命令が出され、時には政府機関関係者がTwitter社に出向してTwitter社の社員として検閲を実行した。
つまり、国民が支払った税金を使って、国民の情報をコントロールしていたというとんでもない話であり、これに対して裁判所が禁止命令の仮り処分を行ったのである。
アメリカは日本よりも自助作用があり、今回の仮り差止命令によって、政府によって行われる検閲に対してメスが入れられる形となった。
一方で、日本でも同様のことが行われており、さらに日本ではアメリカのようなメスは全く入れられていないことも知っておかなければならない。
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