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【Ss/sSコマ撮り】 紙の音

アニメ楽器プロジェクト【Ss/sS】のコマ撮り実験。
形と音の関係を探るために、今回は「紙」をテーマに発想を展開してみました。

紙の音を聴いてやるためには何に注目したら良いだろう。

■紙を折ってみる

紙というのは折ることが多いですよね。折り紙だったり、プリントだったり。
普通はでたらめに折るということは少なく、端と端を合わせて半分にしながら折っていくと思います。

半分の半分の半分...とどんどん折ってから紙を開くと、縦横に格子状の折り目がつきます。その折り目は元の大きな矩形の中に、同じ比率の小さな矩形を作り出します
(どんな紙も矩形であれば、縦横半分で4分割すると元の図形と同じ比率になります)

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紙には、折るという行為を伴って、形は同じ、大きさの違う図形を内側に作り出す性質があることがわかります。

今回はこの性質を手がかりに紙の音を探っていきます。


■音を折る

紙と同じように音を折ることってできるでしょうか?

・音の構成要素
まずは、そもそも音とは何かを知るために、
全ての音の元になる「正弦波」「周波数」について説明します。

○正弦波(sine wave)
「せいげんは」と読みます。
音とは空気の振動の波であり、正弦波はその中で最も単純な波です。
(sine waveのsineはサイン・コサイン・タンジェントのサイン)

スクリーンショット 2020-05-19 20.34.44

○周波数(frequency)
波が一秒間にどれだけ振動するかを示す値です。
音の高さに関係があり、周波数が大きいほど高い音、小さいほど低い音に聴こえます。

スクリーンショット 2020-05-19 20.34.49


正弦波は音波の形で、周波数はパラメーターです。
全ての音が実は、様々な周波数の正弦波の組み合わせで表現できます
ギターだろうと、ピアノだろうと、虫の声だろうと、いくつかの周波数の違う正弦波に分解できるのです。

詳しく突っ込むと話が進まないので次にいきます。
(音波に関する用語はどこか別記事でまとめたいです。今後永い永い付き合いになって行くので、、、)


・細かい音「倍音」

音には「倍音」というものがあります。
この要素を使って、音を折ることを考えます。

○倍音
基音(元になる音)に対して、周波数が整数倍の音の成分のこと。

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基音の2倍の周波数であれば2倍音。3倍の周波数であれば3倍音。以降同様。(例えば、「ド」が基音なら、2倍高い音はオクターブ上の「ド」。3倍高い音はオクターブ上の「ソ」になります。)

余談
ギターの「ド」とピアノの「ド」がそれぞれ同じ高さであるのに違った風に聞こえます。これは、ギターとピアノでの「倍音」の構成が異なるためです。倍音は「音色」と深く関係のある要素です。


周波数が増えると、そのぶん波は細かくなります。
一秒間に振動する数が増えれば、それだけ細かい波ができるのは想像できるかと思います。
例えば、2倍の周波数では、元の波のちょうど2倍細かい波になります。
これは波の長さ(波長)が半分になるということです。

スクリーンショット 2020-05-19 21.03.18


今回はこれを「音を折る」ととらえてみます。

折って細かくなった音、倍音。
そして、この倍音は基音(元の音)と同じく「正弦波」の形をしているのです。


■倍音と折り目

基音(元の音)が正弦波であるように、倍音も正弦派の形をしています。

元の正弦波に倍音を重ねるというのは、元の波にそれの1/2の正弦波、1/3の正弦波、... を追加していくことになります。

これは
* 元の正弦波の中に、小さな正弦波がたくさん生まれる。
ということです。

ここで紙から取り出したものを再確認します。
紙を半分に折って、半分に折ってを繰り返していくとその折り目は、元の矩形と同じ形(比率)でサイズが違うものをたくさん作っていました。

* 元の矩形の中に、小さな同じ形の矩形がたくさん生まれる。

倍音を追加していくということは、折り目が増えていくことに重なりそうです。

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この倍音と折り目のアナロジー(類推)を持って、どうやって紙の音を表現したかを最後にまとめます。


■実験 紙の音を聴く

さて前段は揃ったので、今回「紙の音を聴く」ためにしたことをまとめます。

・音
「正弦波」に加えて、全ての倍音が含まれる「ノコギリ波 sawtooth wave」を主に使いました。
映像で、最初に聞こえてくるのが「正弦波」の和音。ポー。
後半3小節目で聞こえてくるギュイーンという音が「ノコギリ波」

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ノコギリ波

正弦波から徐々に、ノコギリ波へ倍音成分が増えていく(波が細かくなって行く)展開にしています。


・紙
大きな正方形が分裂し、小さな正方形になって音に合わせて様々な形をとります。
画面自体の正方形を基音として、真ん中、周りの小さな形は「倍音」を体現するように分割、折り目を増やしていくようなアニメーションをさせました。



■まとめ

今回はこんな感じで、5sの小作の裏で僕が考えていたところをまとめてみました。
最初ということもあり、なかなか難しかった。
正直、紙と音についての自分の中の意味の連結をうまく文章化できなかった。ほんとは「比率」や「フラクタル」を使いたかったのだが、、、
論を明晰に通すのは難しいですね。本当に学者先生を尊敬します。

今後も、音と形の連結を様々な素材を扱いながら探っていきたいと思います。このコマ撮り実験は月一の頻度で更新していく予定です。

一言、僕は専門家ではないので、間違った表記をしていることもあります。各々気になった方は、色々な文献を漁っていただけると幸いです。


この企画の概要については以下をご覧ください。


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