ピンチョン『ブリーディング・エッジ』 製本して、読んで、装画を描く|③装画を描く
前回:読書感想文
さてさてようやく読み終わり、ホワンホワンとした頭でどんな絵を描くか考えます。
感想のところでも書いたように何かが一点に集約するイメージは入れたい。
ワールドトレードセンタービル(WTC)をそのまま描くのは避けたい。面白くもなんともないからね。
ディープウェブや、トイレの配管、ゴミ、ニューヨークの地下の表情もだしたい。うーんうーん全部は無理か。テロ。WTC。双子。エッジ。消失点。
そう消失点。グラウンド・ゼロ。
爆心地のような明確な中心地のないテロによる双子ビルの崩壊にありもしない中心点。何かが一点集中する無次元のただ1点。
これだ!
そうして、亡霊双子ビルのEdgyな消失点をテーマにWTCを描くことに!
WTCを描く????
まただアイデアに技術が追いつかない。
ビルなんて描くの興味ないよ、大友克洋じゃないんだから。とほほ。
しかし、私はいま発想の奴隷。増殖する発想と搾取される労働者のそれ。amazonからWTCの発送願いたい。エンジェル透視図求める(意味不明)
ま仕方ない、こういうのは慣れっこだ。
しかし今は無きWTCをどうやって描くか。
ここで皮肉なことにもgoogle先生に助けられる。google画像検索でWTCの画像をかき集め、googleマップを元に地図を書き起こす。ありがとうgoogle万歳!
とりあえず、photoshopで下絵を描くことに。
あーめんどくさい。こっちにアンテナがあって?こっちに展望台があって?ん?このアンテナどういう構造???この展望台どうなってる?あー向き間違えた、、、。泣き泣き泣き。
よし、まあできた。なんかかっこよくなりそう。
でもどうやって本の表紙にこれを移す?めちゃくちゃ細かいぞ。
ペンではかけないし。うーん。エッジ。
そうだ!針で削ろう。
またアイデアの奴隷に。うるさい。とにかくやれ。はい。
ちまちまちまちまと針で表面を削っていく。(エンボス加工みたいにしていく)
ミスはできない。
(またはミスはごまかせる程度に)
双子ビルの方は、下絵のポイントを写しとって、直で針で線を引いています。
NYの街並みは下絵の紙を強めになぞって痕をつけています。これで双子ビルとニュアンスの差が出てて見やすい。
タイトルの文字は、本のテーマカラーに合わせて赤に。針で文字の輪郭を写し取ったあと、アクリルガッシュで色を塗る。
いやはや、これで挿画が完成。
あんまりいい写真が撮れない。とほほ。
針で絵を描くなど、慣れないことはするもんじゃない。肩がめちゃくちゃ懲りました。
こっちからみると亡霊みたい。
新潮社版はどんな表紙になるんでしょうね。
全集の表紙どれもかっこいいので楽しみです。
ピンチョン『ブリーディング・エッジ』
製本して、読んで、装画を描く
約半年の戦いがようやく終わりました。
なんとかこれで、自分で勝手に背負った重荷を降ろすことができました。
いい年 迎えられそうです。
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