[線形代数]線形変換と固有ベクトル
1.線形写像
ベクトル空間のベクトルを変換して新しいベクトル空間に
写像(Map)するものです。
(線形変換とは、新しいベクトル空間でなくて元の空間の場合)
定義:R上のベクトル空間U、Vがあった時、この間の写像T:U→Vが
次の条件を満たす時、線形写像という。
(1) T(u+v)=T(u)+T(v) u,v∈U
(2) T(cu)=c T(u) u∈U c∈R
註:
T:U→Vと書いただけで、T(u)=u' T(v)=v' u',v'∈V u,v∈U
を意味する。
有界な多項式の集合は、ベクトル空間であるから、
多項式の微分・積分は、有界であれば線形写像である。
有界なら、フーリエ変換も線形写像と言える。
2.固有値と固有ベクトル
線形変換T:V→V とする。
T(u)=λu (u∈V u≠0 λ∈R)
となるλを固有値と呼び、
uを固有値λに属する固有ベクトルと呼ぶ。
ベクトル Tuーλu = 0 u なので、行列 TーλI = 0 が言える。
つまり、行列 TーλIに、逆行列が存在しないことが条件。
行列式 |TーλI| = 0を固有多項式と呼び、
λについて解くと、λが固有値になる(一般に複数ある)
3.行列の対角化
行列Bを線形変換T(B)により、対角行列A にする
ことを、行列の対角化という。
ベクトル空間Vのある基底を u1、u2、、、uN とする。
この時 T(u_i)=λu_i (λ∈R)となっていたなら
Tを行列で表すと、対角要素をλ_i とする対角行列Aになる。
対角行列A=T(B)=P^-1 B P と置くと、
Pは、u_iを縦ベクトルとすると
P=(u1、u2、、、uN)という行列になる。
証明:
行列AとBの関係は、PA=BP
図で書くと、
U -(A)→ λU
| |
P P P:恒等写像
↓ ↓
U -(B)→ U
の関係であり、
左上端から右上端に行ったのと、下を通って行ったのが
同じ結果になることから、
A=T(B)=P^-1BP
が言える。
この 対角行列Aを求めることは、即ち P^-1BPの行列P
を求めることに等しい。
Pは、上記より、(u1、u2、、、uN)という行列となる。
//
特に、A、Pが実数行列なら「Bは実数体上で対角化される」という
このPをTの変換行列。BをTの表現行列 という。
4.固有空間
1において、固有値λに対して、
集合W(λ、T)={u∈V|T(u)=λu}とおき、
このWをTの固有値λの固有空間という。