前世紀の残務整理 [ボーム理論を否定する]

ボーム理論は、電子とかの量子的粒子が実在であるとし、
普通の量子力学と帰結が同じになることを旨とする
非局所実在論です。
普通の量子力学では、電子とかの量子的粒子は、
非実在的な「情報的存在」です。
(非実在の証明:https://twitter.com/hottaqu/status/1664074882043482113
学部で、量子力学をやる場合、ボーム理論はやらないし、
電子とかが実在するという一見とっつき易いボーム理論は、
普通の量子力学の理解の邪魔になります。
実際、ChatGPTに「電子は実在か?」と質問すると、
両論併記の答えが返ってきて、
ボーム理論を、普通の量子力学と対等に扱っているので
学生を惑わすと思います。

ボーム理論は、量子ポテンシャルが非局所的に
=瞬時に「自然界の最大速度=光速」を越えて作用する
(空間的に離れた点での因果関係が瞬時に成り立つ)
という本当の非局所理論であり、
普通の量子力学と違い、重ね合わせ状態を認めません。
(その時は、測定値がランダムにバラつくとする)
また、系の状態は、粒子毎に1つです。
(普通の量子力学では、系の状態は観測者毎に違ってきます)
そして、非局所的な量子ポテンシャルが、対象に働き、
物理量の値が変わるとします。

例えば、ある物理量aの量子もつれ対で、
その一方が「月や火星に居る」場合、
こちらでaの測定を繰り返して見ていると
「月や火星の測定者」が物理量aを測定したら、
その瞬間、こっちの測定器の表示が変わる ということです。
このこと自体は矛盾はしませんが、
私は非常におかしいと思います。

ボーム理論が創られた当時は、普通の量子力学では、
「相手Bが測定して状態が収縮したら、自分Aから見ても状態が収縮」
と思われていました。
(スピンの場合: |↑A>.|↓B> + |↓A>|↑B>が、即 |↑A>か |↓A>かになる)
しかし、現在では
「相手Bが測定して収縮しても、Aから見たらまだユニタリ発展」
(スピンの場合:自分から見た状態は |↑A>.|↓B> + |↓A>|↑B>のまま)
が正しいです。
https://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/05/094917

ということは、自分に来た粒子の状態は:
相手から見て「測定して状態が収縮した」=干渉項が0
と、自分から見て「まだユニタリ発展中」=干渉項≠0
の観測者毎に、2つが存在することになります。
干渉項が0であるかないか、は次の1回で測定できます。
  スピンの場合: |↑><↓| + |↓><↑| という射影測定
  運動量の場合: |P><P0-P| + |P0-P><P| という射影測定
干渉項に対応するものは、ボーム理論では、
測定値のバラつきであり、
「確定している」=バラつかない が、「干渉項が0」に、
バラつけば、「干渉項≠0」に、対応します。

ボーム理論では、相手の系で測定したら
量子ポテンシャルによって「自分の方の粒子」も確定
=バラつかない となります(系の状態は粒子毎に1つ)
これは、普通の量子力学では「干渉項が0」に対応します。
しかし、自分の方は、「まだユニタリ発展中」
干渉項≠0ですから、これは矛盾です。

∴ ボーム理論は誤り!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?