クねずみ
動物が主人公なのが、宮沢賢治らしいと思う。
エヘンエヘン。
クねずみは、他の生意気な奴が気に入らない。自分が一番だ。
むつかしい言葉が出てくると、エヘンエヘン。
相手も驚いて、しまいには逃げ出してしまう。
その高慢さから、みんなの目の前で暗殺されることが決められてしまう。
猫大将からもらった家庭教師のチャンスも・・・
エヘンエヘン。
ネットでも読むことができるこの話。
宮沢賢治が生きた時代も今も、世間話の内容が同じことにぞっとする。
暗殺されることが決まったクねずみが、「チュウチュウ」鳴く場面は幼さやか弱さが浮き彫りにされている。
「決して先生を食べてしまったりしてはいかんぞ。」
と猫大将に言われた子猫たちが
「何か習ったか。」と聞かれ
「ねずみをとることです。」と答えたところは
彼らが一枚上手だったと感じさせる。
そねみー自分よりすぐれている人をうらやみ、かなわない(しゃくだ)という気持から憎む
を描いたそれは、あまりに私たちに良くあてはまる。