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見知らぬあなたへ
はじめまして、あなた。あなたのことは知りません。どこの誰かも、何をしているのかも。
あなたのことを知ったのは、たった3行きりのつぶやきから。たった3行、名前もない。けれどもその3行きりのつぶやきに、あなたという人を知った気がしたのです。
なんの変哲も無い文章です。特別なことは何も書いていない。怒るわけでもない、愚痴をこぼすわけでもない、嘆くわけでもない、腐るわけでもない。ただ、あなたはきっと疲弊してるのだろうと思いました。孤独なのだろうと思いました。そして、孤独であることに耐えている大人なのだろうと思いました。
あなたはまるで友達につぶやくかのように、淡々と綴ってました。たった3行。その3行の重みに私は竦んでしまいました。衝撃的なことなど何もない、日常にありふれた言葉だったにもかかわらず。
あなたは何の気なしに、ただつぶやいたのかもしれません。それでも、その言葉からあなたの生活を垣間見たように思えました。生の重みに耐えながら一人淡々と日々を紡いでいくあなたを。
あなたは絶望していません。生きるのに疲れて押しつぶされそうになりながら、あなたは明日を生きようとしています。自分を奮い起こそうとしています。
あなたの毎日は、果てない消耗と自分にとって意味のない繰り返しなのかもしれません。それは孤独な戦いでしょう。誰一人知ることのない世界であなたは戦っている。独りで。
それでもあなたは、明日を生きる自分を見ている。生きていこうとする自分を見ている。そんなあなたの姿を想像してしまったのです。
あなたに伝えるすべはありません。街ですれ違った人を見失うように。あなたに巡り合う機会はもう無いでしょう。それでも、あなたの明日に美しい光が射すことを、喜びがあることを、祈ってやまないのです。これは、見知らぬあなたへの、どこの誰でもない私からのエールです。