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おめでとう、いってらっしゃい。

10/11

姉が結婚式を挙げた。入籍してからはや1年と少し。 
結婚式を挙げることを決めたのは5ヶ月前くらいで、1年くらいかけて準備を行う人たちもいる中で、姉夫婦は5ヶ月ちょっとの準備期間だった。
直前までまったく実感も湧かなかったけど、3日前くらいからすごく楽しみで、まだかまだかと待ち侘びて迎えた今日だった。


会場に着けば、プランナーさんたちからおめでとうございますと声をかけてもらい、会場中に姉夫婦を祝福するような飾り付けが施されていて、ひとつひとつ噛み締めるように歩いてまわった。なんて素敵な空間なんだ〜と胸がいっぱいになった。


式が始まる前に両親は先に対面に行って、私は待合室でひとりぽつんと待機。その間に招待者の人たちがぞろぞろやってきて、何年振りに会う姉の中高時代の友人とご挨拶を交わしたりした。みんな綺麗な美人さんになられてて、自分が恥ずかしくなった。
対面から戻ってきた母は目が真っ赤で「もう嫌だ〜ママ無理だよ〜」なんて言ってた。手には姉からの手紙と思われる封筒が握られていて、その演出はそりゃ泣けるよね、なんて思いながら、はやく姉の花嫁姿が見たかった。
しばらくしてすぐに、両家の写真撮影があるので1階に降りてくださいとアナウンスがあり、私はいよいよ姉と対面することに。

披露宴会場の外のガーデンに並び終わって、会場扉から新郎新婦が登場した。式場というのは、どの瞬間を切り取っても新郎新婦が美しく見えるように建物の設計が施されているのかもしれない。ガーデンの緑に囲まれ、太陽の光で白いドレスの反射も受けた花嫁は、キラキラと眩しいくらいに輝いていて、涙が込み上げるのに言葉がいらない感情というのはこういうことを言うんだと実感した。

写真撮影後、いよいよ披露宴を迎えた。
式前に新郎新婦の紹介動画のようなものが流れ、私は胸が詰まってすでに号泣。なんでだかわからないけど、あ〜うちから旅立ってしまったんだな、という寂しいような、でも嬉しい気持ちを姉妹である私も感じられた。もちろん隣で母もボロボロ泣いてた。
花婿にジャケットをかけるお母さん。
花嫁のベールダウンをする母。
見えるはずのないこれまでの2人の人生が見えてくるような瞬間で胸がいっぱいになった。
新郎新婦ふたりの晴れやかな表情に、彼らを愛するたくさんの人の祝福の拍手と涙で溢れた、とっても素敵な空間だった。


披露宴後は恒例のブーケトスだったり、ミニゲーム的な催しがあって、美味しい料理やお酒もいただいて、あっという間に時間が過ぎていった。
式の最後に新郎新婦から両親へ花束と写真立ての贈呈が行われ、そこでもまた顔をくしゃくしゃにしながら母は泣いていた。新婦の姉は泣いてなかったけど、新郎の旦那さんもボロボロ涙をこぼして泣いていた。
旦那さんが涙もろいことは知っていたけど、実際に見たこともなければ普段は割と素っ気ない感じの印象だったから、知らない一面をたくさん見れた気がする。

そして新郎新婦が退場し、今日のハイライトとして1本の動画がスクリーンに映し出された。
Mr.Childrenの「足音」の音楽とともに映し出された映像の中には、両親とのファーストミートの場面や列席者たちが会場内に散りばめられた数々の思い出写真を眺めて思い出に浸る様子、式の最初に流れた映像でボロボロ泣いてる私もしっかり撮られていて、さっきのことなのに遠い時間のように感じた。
そして、映像の終盤に会場中の全員が知らない新郎新婦のファーストミートの様子が流れた。笑顔の花嫁が入場し、緊張した面持ちで待つ花婿の肩を叩く。振り返った花婿は上を向いて、顔を顰めて溢れんばかりの涙をぼろぼろ溢していた。花婿から贈られる手紙に綴られた想いを笑顔で受け取り、涙を流しながら抱き合う2人を見て、嗚咽しながら泣いた。それと同時に、この2人ならこれから先きっと大丈夫だって、心から思えた瞬間だった。
はじめ、私と母は結婚することを反対していた。反対したところで、何年も共に過ごしてきた好きな人から離れられるわけがないことを私も母もわかっていたけれど。
だけどこの日確信した。この2人なら大丈夫だってこと。姉にとっての幸せが、間違いなくこの人の隣にあることを。
あんな笑顔の姉を見たことなかったね、って
ほんとうに幸せそうで良かったよね、って何度も母と話した。家族ひとりひとりに与えられた手紙の中に出てきた「親孝行」という言葉。私も母もきっと父も、今日同じことを思ったと思う。

今日という日であなたは一生分の親孝行をしたよって。

あんなにも幸せそうで、あんなにも笑顔のあなたを見れたことが何よりも1番の親孝行だったと思う。

私宛の手紙の中に「かえるにばっかり負担をかけてごめん。これからは2人で協力して助けていこう。」と綴られていたけど、一生分の親孝行をしてくれたから、むしろありがとうの気持ちでいっぱいだった。私がその親孝行をするにはまだまだ先になりそうだし。(苦笑)

本当に本当に、結婚おめでとう。
今日のお姉さんは世界で1番綺麗で可愛かったよ。
素敵な時間をありがとう。
私たち家族の最後のイベントが、お姉さんの結婚式になってしまったこと、ごめんね。
誰よりも家族想いなあなたを悲しませることになって、どんな想いで今日を迎えたのか、考えると胸が詰まります。でも私たち一家が前に進むための決断ということをはやくに理解してくれたあなたは、やっぱり強くてかっこいいよ。
私は決めたら人を置いて行く勢いで突っ走ってしまうけど、あなたは誰も置いていかない優しさを持っていて、そんな一面を小さい頃からずっと尊敬していました。
みんなそれぞれの人生を歩んでいくことになるけれど、私もそっちに遊びにいくし、そのときは父と3人でご飯を食べに行こうね。

今日は本当に素敵な時間をありがとう。
私たち家族にとって1番綺麗で美しい思い出になったよ。

どうかこれから先も旦那さんと愛犬と幸せな時間を過ごしてね。


おめでとう。 
ありがとう。

いってらっしゃい。



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