『怪と幽』vol.001に『このオフィスには妖怪がいる』が掲載されます
皆さんは妖怪を見たことがありますか。私はないです。でも会社に勤めていたころには「洗っても洗っても給湯室にわく上司のマグカップ」や「社内サーバから消えた福利厚生細則」や、人間の理解を超えた、妖怪の仕業としか思えない出来事を数多く見てきました。
さて、それぞれコアなファン層を獲得してきた、妖怪マガジン『怪』と怪談専門誌の『幽』が合体して、『怪と幽』という雑誌になるそうです。光栄にも「創刊号に書きませんか」というお話をいただきました。
与えられたテーマは「妖怪」。
ええーっ、と思いました。だって、かの水木しげるさんが中心となって創られた『怪』の執筆陣や読者は、おそらくこの地球上で最も妖怪に詳しい、たぶん二十四時間妖怪のことを考えている人たちです。そんなアウェイで、私が何を書けというのか。恥をかくに決まってる。
でも、「他の人が絶対に書かないシチュエーションで書くならありなのではないか」と考えました。例えば、古いものを愛する妖怪好きの人たちが絶対に行かなそうなところはどこか。
六本木、外資系、コンサルティングファーム……。
その三つをメモに書き出したところで、容姿はいいが神経質すぎる上司と、彼に振り回される優秀な部下がバディを組んで、クライアント企業にいると噂される「妖怪」の正体を推理する、というシーンが頭に浮かび、「書ける!」と思いました。
混迷の時代に変革を迫られる日本企業に、妖怪はいるのか、いないのか。
いかにも朱野らしいオフィスものになったと思います。ぜひ『怪と幽』001号にて、お楽しみください。