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Photo by
negoroookura
えりことしょうじ
えりこが目を覚ますと
部屋には章司が居た
章司は障子屋の息子で
いつも障子を張り替えている
ある日えりこは
章司を誘った
甘い夢を見るために
ゆっくり開いたその先は
章司によって
きれいに閉じられた
章司はたちっぱなしで
えりこをずっと眺めていた
えりこはびっくりしたけれど
招いたのは自分だったと
ようやく気づいたのだった
章司は言った
今日はどこを裂いてしまったのと
えりこはいった
そこの小さな引っ掻き傷
悪い猫がやってきたのと
さもありなんと
えりこは言った
章司は障子を直すふりをし
じっとえりこを見つめていた
クレドポーの赤いルージュ
えりこにやたらと
似合っていた
思わずえりこを抱き寄せた
全て塞いでしまうために
えりこえりこえりこえりこ
章司にに赤いルージュがついた
その瞬間にえりこは消えてしまっていた
クレドポーの口紅が
からからと転がって
障子を真っ赤に
濡らしていた