Vol.3 入院
「入院」というタイトルは不穏かもしれない。しかし、大学院生の間では「大学院に入学する」という意味でしばしば隠語で使われる。
今回は「節目」として大学院に入学するということについて書いていく。
そもそも、私はなぜ大学院に進学しようと思ったのか。
修士課程では、卒論を書いてさらに興味・関心を深めて研究したいという純粋な心があった。また、専門を問わずに学びたいという気持ちも同居していた。
一方、博士課程ではどうだったのか。明確な理由があるかというと、そういうわけではなかった。修士課程に入った時点で、博士に行くことは視野にあった。ただ、それは漠然なもので、「進学したい」「研究者になりたい」という確固たる気持ちはなかったかもしれない。やりたいことが見つからなかったから進学したというのも、正直なところだ。
入学にあたり、入学式は行われる。しかし、それは学部生の入学式ほど華やかではない。応援団がエールを送ってくれることもなければ、仮装した人が式場をうろついていることもない。極めて形式的なもので、部局長の挨拶で式典は終わり、学生証を受け取って終了である。
入学式の本番は、その後の懇親会である。所属先の院生の団体が主催して開かれた会で、先輩の院生や教員も参加していた。
ここでも、修士時代は他の大学から進学した同期となる院生と出会い、今でも何かしらで交流はある。しかし、学部・修士と同じところに所属して進学すれば、教員・先輩・後輩に顔は割れており、新鮮みはない。博士課程で外部から来る人も少ない。
しかし、博士課程の懇親会では、新任の教員(分野は全く別)と酒を酌み交わし、後に飲みに行くようになった。後にこの先生との出会いは非常に大きなものとなった。