Vol.8 就職
就職した。
辞令をいただいた。
首長からの辞令は「出向」。出向先は教育委員会事務局だった。
首長からの辞令交付の後に教育委員会から辞令を受けた。新規採用職員では唯一の兼務だった。
首長の訓示は大して覚えていないが、教育長の訓示にはこうあった。
「我が教育委員会は、久々に人員増で新しく人を迎えた。」
自分を必要として迎えてくれている感じがした。
かたや、大学院から離れる時には師匠は就職を快く思っていなかった。
なぜ就職なのかとも言われた。
研究室の片付けをしていると、惨めな思いがした。
アカデミアではぞんざいに扱われがちな院生も、必要としてくれる世界はあって、自分の力を発揮できる場所はいくらでもあると思った。