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16.ナミビビア ナビブ砂漠 ウォルビスベイ(Town No27) と スワコップムント(Town No28)
ナミブ砂漠は 世界で最も古く、美しい砂漠として知られている。
南はナミビアの南端近くから北はアンゴラの国境付近、東は中央高原に至るまで、西は大西洋に接し、ナミビアの大西洋側に幅50~140Km、長さ1500Km以上細長く続く砂漠である。
南極からのベンゲラ海流(寒流)により年間の降雨量が25mm以下という気象条件のなかで8000万年の間、南西の風を受けた大地は大きな砂丘の砂漠へと変化した。
その広大な砂漠の中で、都市らしい都市として発展しているウォルビスベイ、スワコプムントを拠点としてナビブ砂漠を訪れた。
1.ウォルビスベイという街
ウォルビスベイは、ナミビア共和国の沿岸中部・エロンゴ州に位置し大西洋に面する天然の良港を抱える湾都市だ。
干潟、砂洲が広がるウォルビス湾に面し、一帯にフラミンゴなどの鳥類が生息している。1995年にラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録された。
■デューン7
ウォルビスベイとスワコプムントの間の30㎞ほどの区間にはナミブ砂漠の砂丘が延々と連なっていて、その中で一番有名なのがデューン7と呼ばれる砂丘だ。
高さは、383メートル以上というナミビアで最も高い砂丘であり、ウォルビスベイから約15Kmと近いため。観光客に人気のスポットとなっている。
ツァウチャブ川(ナミビア中部のハルダップ地方にある川)を渡った後に遭遇する7番目の砂丘であることから、デューン7と名付けられた。
遠くから見るとそうでも無かったが目の前に見た砂丘は、サラサラの砂と想像以上の大きさに驚いた。
尾根沿いの登りやすいルートを選んで登頂を試みたが、足元の砂が崩れてなかなか上に登れない。
途中でギブップし、風と光が描く砂丘の模様を撮ることに専念した。
しかし、太陽がほぼ真上にあったため濃い影がなく平凡な写真になってしまった。
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ふと見ると四輪バイクで駆け巡る一団が目に入った。私もこれに乗って頂上からの写真を撮りたいと、ガイドに云ったら「そんな時間はありませんよ」とニベもなく断られた。これが団体ツアーのツライところだ。私は後ろ髪をひかれる思いで次の目的地・スワコプムントへ向かった。
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2.スワコップムントという街
大西洋に面したリゾート都市・スワコプムントは、人口28,552人のエロンゴ州の州都だ。
ドイツ植民地時代の雰囲気を残し、海岸線と砂漠をつなぐ拠点都市として多くの砂漠観光客が訪れる。
スワコプムントのレストランで昼食をとった。白身魚、牡蠣、ロブスター、アワビなど新鮮な魚介類やドイツ風の肉料理、ソーセージがビュッフェスタイルで提供されたが、流石、ドイツの伝統を受け継ぐ料理で、且つ港町の新鮮な魚介類の料理は生涯思い出に残る美味だった。
大満足の昼食のあと、ナミブ砂漠だけに自生しているという「奇想天外(和名はサバクオモト)」という植物の鑑賞に向かった。
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■奇想天外(ウェルウィッチア)
前後左右、見渡す限り砂の海。その中にまっすぐに伸びる道をマイクロバスは時速100Kmで担々と走る。行けども行けども見えるのは砂漠だった。およそ1時間半走ったところで漸く目的地「ウェルウィッチア」という植物が自生するウサコスの街についた。
街といっても、着いたところには建物は全く見当たらず、見渡す限り砂漠の大地だった。
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「ウェルウィッチア」は、2000年の寿命を持つといわれ、世界でこのナミブ砂漠にのみ生息する植物だ。日本名を「奇想天外」という、その名の通り、砂漠という過酷な環境で生きながらえてきた他の植物と同じように、実に奇妙な形と生活を営んでいる植物だった。
成長すると重さで自然に裂けてしまい何枚かに分かれているように見えるが、実際は2枚の葉だけ一生伸ばし続けるそうだ。
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照りつける太陽、木陰のない大地は灼熱かと思っていたが、降り立ったところは輻射熱もなく、意外に涼しい風が吹いていた。海が近いせいだろう。
そういえば、「ウェルウィッチア」は海から吹く風の中に含まれる水分で命をつないでいるという。だからナミブ砂漠の中でも海から遠く離れたところには生息していないそうだ。
■ムーンランドスケープ
スワコプムントの街を出て40分後、私はムーンランドスケープの高台に立った。まるで月世界に迷い込んだような風景が目の前に広がっていた。
数億年前に地球の内部から押し出された花崗岩が、吹き荒れる風とスワコプ川によって浸食され200年の歳月を経て、現在の姿を築いたのだ。
月の表面を思わせるような風景であることから、アポロ13号が月へ行ったのちに、この地は「ムーンランド」と名づけられたという。
ここは映画「猿の惑星」の撮影現場となったことでも知られている。
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