「世界の街角」 9.アメリカ 9.2ニューヨーク(Town No16)
アメリカ合衆国最大の都市ニューヨーク。
世界最高水準の世界都市、金融センターであり、世界の商業、文化、ファッション、エンターテインメントなどに多大な影響を及ぼしている都市だ。
1.マンハッタン
マンハッタン区、クイーンズ区、ブルックリン区、ブロンクス区、スタテンアイランド区の5つの行政区で構成されるニューヨーク市の中で、アメリカ最大の都市圏人口を背景にしたマンハッタンは、公共交通機関が際立って多く利用されており、多くの交通機関が24時間運行し「眠らない街」とも呼ばれている。
この街には世界的に知られた地区やランドマークが数多くある。
自由の女神像は、19世紀末から20世紀初めにかけて、アメリカへ渡ってきた何百万人もの移民を出迎えてきた。
ウォール街は第二次世界大戦以来金融の国際的中心地であり、ニューヨーク証券取引所が置かれている。
エンパイア・ステート・ビルディングなど超高層ビルも数々建ち並び、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件によって崩壊したワールドトレードセンターもその一つであった。
マンハッタンは、静と動、自然と都会、伝統と革新が混ざり合った場所だ。この街を歩くと、世界が一つに凝縮されたような感覚を味わう。そして、この活気と多様性が、訪れる者の心をつかみ、また訪れたくなる魔法を持っているのだ。
2.コロンバスサークル
セントラルパークの南西角に位置するコロンバスサークルはコロンブスにちなんで命名された。ニューヨークの一日の始まりを告げる特別な場所だ。
円形のロータリーを中心に、クリストファー・コロンブスの銅像が堂々と立つ姿は、歴史と近代の交差点そのもの。周囲を囲む高層ビルには、ショッピングセンターや高級ホテルが並び、観光客もビジネスマンもこの場所を行き交う。
朝早く訪れると、地元の人々が急ぎ足で地下鉄へ向かう一方、セントラルパークの入り口を背に写真を撮っている観光客の姿もあった。
目の前に広がる59丁目の喧騒と、すぐ横のセントラルパークの静寂とのコントラストが、マンハッタンらしい独特の雰囲気を醸し出していた。
コロンブスのモニュメントの台座の一部に、天使を模したような翼を持ち、地球儀を支えるようにして静かに佇む彫刻があった。
この像の持つ荘厳さと哀愁は、歴史の重みを感じさせてくれた。
朝の太陽に照らされ、背景の柔らかな光と石材の冷たさの対比が、朝の静けさと活力を同時に感じさせる、この印象的な像をカメラに収めようと、太陽光が地球儀の縁から顔をのぞかせるようにアングルをとってシャッターを切った。
放射状に広がる光が像全体に神秘的な雰囲気を醸し出す写真を撮ることができた。
コロンバスサークルの一角に、金属で構成された地球儀のモニュメントがあった。
背後には高層ビルがそびえ立ち、青空とビルのガラスに反射する光が、都市のダイナミックな雰囲気を強調していた。
この地球儀の彫刻は、近くのランドマークである「タイム・ワーナー・センター」の象徴的なデザインの一部であり、ニューヨークらしいグローバルな活気を感じさせてくれた。
3.サウスストリート・シーポート
サウスストリート・シーポートはニューヨークのダウンタウンともよばれるロウアーマンハッタンの歴史的な地区だ。
18・19世紀のオリジナルの建物、改修されたヨット、旧フルトンフィッシュマーケットや、居心地の良いバー、大規模なイベント、アイススケートなど、シーポート地区のアクティビティの多くは隣接するピア17で行われる。
ここは、観光客だけでなく地元の人々にとっても魅力的な場所だ。
歴史ある港町の雰囲気と、現代的なアクティビティが見事に融合したこのエリアは、ニューヨークの多面性を感じさせてくれた。
◆ピア17
サウスストリート・シーポートにあるピア17は、都会の喧騒を忘れてリラックスできる憩いの場所だ。
正午過ぎ、温かな陽射しの中、私はそこに集う人々の姿を撮るために木製のデッキを歩いた。
デッキの上では、親しい人と談笑したり、一人で水辺を見つめたりと、思い思いの時間を過ごす人々がいた。
タオルを敷いて横になり、日光浴を楽しむカップルや、ランニングウェアで散歩を楽しむ人たちの姿からは、ここで過ごす休日の心地よさが伝わってきた。
水面に反射する光がキラキラと輝き、都会にいることを一瞬忘れてしまう光景だ。
(ピア17は、ハリケーン・サンディの被害により何年も閉鎖された後、完全に改修され、2018年、営業を再開しました新ピア17は全く新しいコンセプトのもとに生まれ変わり、昔日の面影はないそうです)
◆ブルックリンブリッジ
翌日の朝、私はニューヨークの街が静寂から目覚め始めるその瞬間を撮るためにブルックリンブリッジを訪れた。
この橋は、鋼鉄のワイヤーを使った世界初の吊橋で、ワイヤーの形作る幾何学模様が、ゴシック風のデザインともあいまってニューヨークの観光名所のひとつになっている。
太陽がゆっくりとイースト川を照らし始め、橋全体が金色の光に包まれていく。この時間帯の橋は、日中の喧騒とは違う静かな表情を見せてくれる。
歩き出すと、木製の歩道が心地よく足裏に響く。橋の両側には鋼鉄のケーブルが美しいアーチを描き、歴史的な石造りのタワーがまるで門のようにそびえ立っている。
この景色が、19世紀に完成した橋の壮大さを思い起こさせる。
朝の散歩を楽しむ人々が少しずつ増えてきた。ジョギングをする地元の人たち、通勤途中のサイクリスト。誰もがそれぞれの目的地へ向かいながらも、朝の橋がもたらす静かな癒しを味わっているようだった。
橋の中ほどに差し掛かると、マンハッタンのスカイラインが視界いっぱいに広がった。朝日を受けたビル群が、輝きながら新しい一日の始まりを祝福しているようだった。振り返ると、ブルックリン側の街並みもまた違った美しさを見せている。煉瓦造りの建物や木々が朝日に照らされ、温かみのある風景を作り出していた。
橋を渡り終えるころ、太陽はすっかり空高く昇り、街はいつもの喧騒を取り戻しつつあった。しかし、橋の上で過ごした静かで穏やかな朝の時間は、一日の活力を与えてくれる特別なひとときだった。
4.ロックフェラー・センター
ニューヨークの象徴ともいえるロックフェラー・センターは、街の喧騒の中で堂々とそびえ立つランドマークだ。
マンハッタンの中心地に位置し、アール・デコ様式の建築美と多彩な文化イベントで訪れる人々を魅了し続けている。
まず目に飛び込んできたのは、ロックフェラー・プラザの噴水前に輝く「プロメテウスの像」。黄金に輝くこの像は、ギリシャ神話の火の贈り主、プロメテウスをモチーフにしたものだという。
その躍動感あふれる姿が、ロックフェラー・センターのエネルギッシュな雰囲気を象徴しているように感じられ、噴水の水音と、周囲を彩る各国の旗のカラフルな波が、都会の中に小さなオアシスを作り出していた。
次に見上げたのは、ロックフェラー・センターの中心にそびえる「30ロック」として知られる高さ259メートルのビル。この超高層ビルのデザインは、シンプルでありながら威厳に満ちており、ニューヨークの空に向かってまっすぐ伸びる姿は圧巻だ。
晴れた日には、ビルの展望台「トップ・オブ・ザ・ロック」から、セントラルパークやエンパイア・ステート・ビルの美しい眺望を楽しむことができるそうだ。
5.ニューヨーク:近代美術館
ニューヨークの中心、マンハッタンのミッドタウンに位置するニューヨーク近代美術館(Museum of Modern Art)、通称「MoMA」は、近代美術の殿堂として世界中のアートファンに愛されている。
館内に足を踏み入れると、まず驚かされるのはその洗練された空間設計。広々としたロビーに光が差し込み、私たちを温かく迎え入れてくれた。
展示室に進むと、世界的に有名な作品が次々と目に飛び込んできた。ゴッホの「星月夜」やピカソの「アヴィニョンの娘たち」、ダリの「記憶の固執」など、教科書や美術史で目にしたことがある名画が間近で見られる喜びは格別だったが、残念ながら写真を撮ることはできなかった。
6. ブロードウェイ
「Broadway」という名前は 「broad=広い」「way=道」という英語からきたもので、街区の中心を貫くメインストリートを意味している。
マンハッタンの繁華街を南北に貫き、タイムズスクエア付近ではその周辺に劇場街が広がっているため、「ブロードウェイ」という単語は「ミュージカル」の代名詞ともなっている。
夜の訪れとともにブロードウェイはまるで別世界のようにその姿を変え、タイムズスクエアを中心としたメインストリートは、無数のネオンとLED広告で明るく輝く。
人々のエネルギーが街全体を包み込むような煌びやかな世界に誘われるように、私は夕闇せまるブロードウェイを歩いた。
すぐに目に飛び込んできたのは、巨大なビルボードに映し出される色とりどりの広告。最新のミュージカルや映画のポスターが目を引き、世界的なブランドのCMが次々と流れる。その華やかさは圧倒的で、私は横断歩道を歩きながら、都会のエネルギーを感じたその瞬間をカメラに収めた。