13.南アフリカ共和国13.2 ダーバン(Town No24)
インド洋に面した美しい港町ダーバンは、ヨハネスブルク、ケープタウンについで南アフリカで3番目に大きな都市だ。といってもビーチからビジネス街まではわずか2km、そのビジネス街から歩いていけるところにゴルフ場があるというこじんまりした街だ。
1. ダーバン植物園
街の中ほどにあるダーバン植物園を訪れた。
アフリカで最も古い植物園の一つで、1870年代から開園し、現在では南半球特有の熱帯・亜熱帯系の植物を中心に、世界中から集められたランも展示されていた。
植物だけでなく、珍しい鳥類も見られ市民の憩いの場となっている。
■緑の中でのひととき
木陰に置かれたベンチで語り合う人々の姿が印象的だった。背の高い樹木が作る自然のアーチは、まるで大地に開いた扉のように見えた。
陽光が差し込むと、葉の間から柔らかな光がこぼれ、歩く人々の足元をやさしく照らしていた。
■池と鳥たちの楽園
園内にある池のほとりには、さまざまな種類の水鳥が羽を休めていた。白く優雅な鳥たちが静かに佇む光景は、自然と調和した穏やかな美しさを感じさせていた。水面に映る青空と木々の緑が美しいコントラストを作り出す風景は、絵画のようだった。
■木彫りの彫刻と歴史
園内を進むと、巨大な木彫りの彫刻が現れた。これは園内の倒木を利用して作られたものだという。
彫刻の前で興味深そうに眺める観光客たちが、南アフリカの文化と自然の歴史をじっくり味わっている姿が印象に残った。
■南アフリカの象徴
園の出口で南アフリカの国旗を掲げる子どもたちの姿に出会った。誇り高く掲げられた国旗が、色鮮やかな緑の風景に映え、この国が持つ豊かな自然と未来への希望を象徴しているように思えた。
2. ビーチフロント
ダーバンは南アフリカ有数のリゾート地でもあり、ヨットやサーフィン、ダイビングのメッカとしても知られている。
観光客が多く集まるのは、ビーチフロントといわれるエリア。その中心は、市街から近いノース・ビーチからサウス・ビーチにかけた一帯だ。
海岸線と平行して走るマリン・パレードがメインストリートで、この通りをはさんで市街側には高層リゾートホテルが建ち並び、スネーク・パークなどのアトラクション施設やファストフード店がならんでいる。
■ホテルから眺めた絶景
私の泊まったホテルは西側がビジネス街、東側がビーチで全室オーシャンビューという好立地だった。
30階に街全体が見渡せる展望室があり、ここから見た夜景は、白熱灯一色のシンプルな光であり、ネオンサインのきらびやかな夜景をみなれた目には、新鮮な美しさであった。
朝、目覚めると部屋から日の出間近の赤い空が見えた。まだ薄暗い空が徐々に明るみを帯び、海辺に淡い光が差し始める――
私はカメラを持って海辺へ走った。
ダーバンの朝は、清々しい空気と穏やかな雰囲気に満ちている。釣り人、サーファー、家族連れ、それぞれの朝の時間がゆっくりと流れていく。その風景を見ていると、この海辺がただの観光地ではなく、人々の日常の一部であることを実感した。
■夜明けの桟橋と海鳥たち
桟橋には早くから釣り人たちが集まり、それを取り巻くように海鳥が飛び交う。空の端から顔をのぞかせた朝陽が海面を照らし始めると、景色は一瞬にして金色に輝く。
穏やかな波の音を聞きながら、黙々と釣りを楽しむ人々の姿は、朝の静寂の中でひときわ印象的だった。
■早朝のサーファーたち
夜が明けきらぬうちから海辺に集まるサーファーたちは、この街の朝の風物詩だ。
ひんやりとした海に飛び込む彼らは、波を待つ時間すら楽しんでいるかのようだ。まだ柔らかな朝の光に包まれた波間で繰り広げられるサーフィンは、見る者に爽快感を与えていた。
■浜辺の人々
砂浜には、日の出を見に来た人々の姿もちらほら見えた。子どもたちは波打ち際で遊び、大人たちはその様子を見守りながら、穏やかな朝の時間を過ごしている。波のリズムに合わせて足元を濡らしながら歩く人々の姿は、朝の静けさと心地よさを象徴しているかのようだ。
3. ウシャカマリンワールド
ダーバンの名物「ウシャカマリンワールド」は、ビーチフロントのサウス・ビーチにある人気の水族館だ。
このユニークな水族館は、一見すると朽ち果てた廃船。しかし中へ一歩足を踏み入れれば、そこには色とりどりの海洋生物たちが織りなす幻想的な世界が広がっていた。
廃船をそのまま活用した外観は、時の流れを感じさせ、訪れる人々の好奇心を掻き立て、船の錆びついた船体と青い空、そしてヤシの木々が織り成す風景は、まるで異世界への入り口のようだ。
館内では、巨大な水槽の中を優雅に泳ぐ魚たちやイルカたちのショーが楽しめる。
特に、子どもたちが水槽越しに海の生き物を見つめる姿は微笑ましく、訪れる家族連れにとって思い出深い時間となるだろう。
イルカショーもこの水族館の見どころの一つだ。賢いイルカたちが見事なジャンプを披露するたびに、観客席からは歓声と拍手が沸き起こった。
この水族館は単なる観光スポットにとどまらず、海洋生物の保護や教育にも力を入れ、自然と共存することの大切さを、訪れた人々に伝えているのだということを実感した。
廃船という過去の遺物と海の生命という未来を象徴する存在を融合させたこの水族館は、どこかノスタルジックでありながら新しい発見を与えてくれる特別な空間だった。