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アラブ首長国連邦(UAE)って、スーパーリッチなベーシックインカム制度なの?


アラブの国々って、これまで全く接点がなくって、今回突然出張に行くことになるまで本当に何一つ知りませんでした。しかも2日前までスケジュールも泊まるホテルもわからず(旅費が全額UAE大学のプロジェクト経費なので何も文句はないのですけど)、本当に私は行くのか!?実は計画倒れになるのかも??と最後の最後まで疑っていたので、何も調べておらず。

何もわからないので、まずは空港に迎えに来てくれた大学の公用車の運転手さんから情報を仕入れたところ、
「この国の国民は基本的に働かなくても良くて(働いているのは外国人)、豪邸に住んでる」
とのこと。それを聞いただけで、うわ、まじか、そんな国ってあるの!?って仰天したわけですけど。

大学に着いて、それってどういうこと!?と国民であるところの大学生(学生の95%がUAE国民)に聞いたところ、
「働かなくてもいいっていうのはちょっと違うかな。この職種で働きたいとなったら、必ずそのポジションが与えられることになってるんだ」
「政府の職に着いたら十分な給料がもらえるし、民間でも月給が30,000AED(日本円で120万円)より低い場合は、学歴に合わせて政府から補填されるんだよ」
「まあ教育も医療も無料だし、もし家がなければ国から支給されるし、子供を産んだら一人につき毎月2,600AED(10万円ぐらい)支給されるから、まあ、働かなくても数人産んだら結構それだけでいい感じにはなるけど」

私の持っていたドバイのイメージは、「オイルマネーで急激に豊かになった資本を使って、なんだかやたらと大きいものを作る国だな・・・」っていうものだったけど、オイルマネーだけで潤っているわけではなく、すでにドバイは貿易や不動産がトップの収益で、経済活動はどんどん活発になっているそう。ランドマーク的なゴージャスな建築物は、実は世界の投資家の注目を惹いてオイルマネーから脱却して国の資本を不動産や貿易などで回していくための戦略なのですって。

「資源を持っている国が西欧諸国の植民地化されてきたのに、UAEはそうはならなかったのね?」
と聞くと、
「建国の父のシェイク・ザイードは本当にすごくて、7つの地域をまとめて国を作って、ちゃんと資源が自国の国民の利益になるようにしたんだ。日本も含めてNATO加盟国は色々搾取されて大変だね。」
「😩(私)」

そのシェイク・ザイード、すごいらしいけど知らないし聞いたことがない(アブダビの世界一美しいと言われるモスクは、この建国の父であるシェイク・ザイードのお墓として2007年にできて彼の名前がついている:Sheikh Zayed Grand Mosque・・・なんですけど、私はその名前をみて、ん?千夜一夜物語のシエラザード?ぐらいに思っていました😅)。ってことでシェイク・ザイードの伝記を置いてあったホテルで第1章だけ読んだら、全部読みたくなって思わず本を買いそうになったほど(ページ数がすごくて重量が重すぎてやめたけど)。

シェイク・ザイードは小さい頃、アブダビの後継者争いで叔父さんにお父さんを殺されて、自分も殺される危険があったので砂漠でベドウィンと暮らしていたりしていたのですって。その後、砂漠の中で非常に貧しい生活を行っていた村をオアシスの水管理を公平にして農業ができるようにしたり、行政や学校を作ったりと、豊かになるように統治者として尽力して大きく貢献してきたのだけれど、ヨーロッパに視察に行った時に、生活スタンダードのレベルの違いを知ってとても動揺したのだそう。その時に、その生活レベルの大きなギャップをどうやって埋めたらいいのかと考えて、伝統を守ったまま人々の生活の質を上げるというビジョンを持って国を作っていったのですって(オイルマネーが突然入ってきて、周りの国々でそれまでの人々の暮らしが壊されていくのをみていて、同じ過ちは犯すまいということもあったみたい)。

ベドウィンの掟である協議と合意のルールを取り入れて、ドバイなどを含む7つ首長の合意をとって、首長国連邦としてまとめてのそこからわずか50年ほどで今の状態ってことですよね。超リッチな国民の生活とか国民性ってどんなだろ?と思っていたんだけど、まだ伝統は残っていて、砂漠の民であった時からの家族の絆の強さや、動物(ラクダ)に対する愛情や、ホスピタリティーの高さはそのままだそう。アルアインというオアシスの街で行われていた、伝統的なクラフトフェアでの一コマこちら(伝統的なベドウィンの踊り)。

ポスドクの人たちと3人で行ったのですが、外国人はほぼ私たちだけで、「わ、場違いかも、入っていいのかしら、、、」
と思っていたら、
「来てくれてありがとう!!さあどうぞこっちに座って!」
と超歓迎されました。

そんな彼らにとって、シェイク・ザイードはこの豊かな暮らしを叶えてくれた人であり、彼に対する敬愛はすごくって。国の統治システムが違うっていうこともあるし、資源があればこそとは思うけど、こんなにも統治者(権力者)と国民の関係が違うのかと感慨深く。学生に聞いても国の政策には満足しているようで、国の在り方ってこんなに違うのかとびっくりしました。

ちなみに、外国人は観光ビザできても就職先が見つかったらすぐに就労ビザに切り替えてくれる外国人ウェルカムな国(ゆえに現在外国人が約90%。大学の先生もすべて外国人)。経済がまだまだ発展しているので、人材がたくさん必要なのでどんどんきてちょうだいという感じなのです。でもどんなに長年働いても、たとえそこで生まれても、国民じゃなかったら永久に市民権は得られない、つまり働けなくなったら自国に戻るしかない、というのがうまくできてるなと思いました。

<プチ情報と写真>

もしトランジットなどで旧市街に行くことがあったら、英語が大丈夫ならこういうツアーおすすめ(3時間で爆笑トークで歴史や文化や買い物の仕方まで教えてくれて面白かった)
https://www.tripadvisor.jp/AttractionProductReview-g295424-d17566186-Dubai_Aladdin_Tour_Souks_Creek_Old_Dubai_and_Tastings_Small_Group-Dubai_Emirate_of.html

アブダビとドバイの旧市街で撮った写真こちら。美しかった。

アブダビ:シェイク・ザイードモスク。午後遅く行くとライトアップが素敵
モスクの入り口のところで待っていると、1時間に一回無料のツアーがあって、それについていくと一般観光客が入れない場所まで連れて行ってくれる
ドバイ旧市街のスーク(マーケット?):アラジンの魔法のランプみたい
スパイスのお店いっぱいあるけど、こんな山盛りで置いてあるスパイス、そんなに買う人がいるのだろうか。。。(というか、乾燥剤とか入れて容器に入れなくて大丈夫なの??)



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