普段は言えないことを書き捨てる場所です。 誰の得にもなりませぬ。

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最近の記事

「失われたものたちの本」と「君たちはどう生きるか」

 映画『君たちはどう生きるか』を見てから数ヶ月、ずっと余韻に浸っていた。過去のジブリ映画の中で最高に気に入って、80歳を超えてこんな映画を撮れる宮﨑監督の才能のものすごさに感服していた。  そして最近、映画の元ネタと噂されている「失われたものたちの本」をようやく読んだのだが、すると映画の評価がすっかり変わってしまった。 「同じじゃん」と思った。  舞台設定や異世界の設定こそ違うが、物語の骨子はまったく同じ。特に現実から異世界に入るまでの設定はほぼそっくりそのままで、その

    • 生の実感

       道端に腰掛けて、目の前を通り過ぎてゆく人々の波を延々と眺めていた。  誰もが生の実感をすこしでも味わおうとこの街にやってくる。楽しみを共有したいと願う恋人たちが和気藹々とゲームセンターに入っていく。  美味を(そしてその美味を求めて短い旅をする経験を)分かち合おうとする人々がスマートフォンを片手に目当ての店を探している。  自分が我慢して稼いだ金の威力を確かめようと女の子がひとり、アパレル店がごっそり入った巨大なデパートに意気揚々と入っていく。  別の街角では義憤に

      • 葛藤

        君が好きだから別れられないんじゃない 君が他の誰かと幸せになるのがムカつくから 別れられないだけだ。

        • つかの間の……

          いい季節だ。まだ早朝あたりはやや肌寒くもあるが、Tシャツに長袖1枚羽織って日中を過ごせる季節はとても好きだ。 こういう季節は少ない。4月から6月、9月後半から11月あたりだろうか。ただ6月から7月にかけては梅雨があるし、9月は場合によっては残暑がまだあるし、本当に快適な季節は4、5、10、11月の4ヶ月程度ということになる。日本は意外と過ごしにくい国なのではないだろうか。 4月5月はこれから暑い夏を、そして10月11月は寒い冬を迎える覚悟が必要で、どちらにしても僕は好きで

        「失われたものたちの本」と「君たちはどう生きるか」

          雨の日にどうでもいいことを考えながら歩く

           傘をさして歩いていた。雨はぼつぼつと傘を叩き続けていた。僕はその音に一定のリズムがあるかどうか、ぼんやりと考えていた。ありそうにも思えたし、まったくの無秩序であるようにも思えた。もう少し耳をよくすませば分かりそうだったが、そこまでしようと思うほどには興味がなかった。だいたいのことは僕にとってそんなものだ。本当に分からなくてはいけないほど大切なものが見つからなかった。それは楽なことではあるけれど、一方では虚しいことだ。だが、虚しいという気持ちすら、どうでもいいことのように思え

          雨の日にどうでもいいことを考えながら歩く

          矛盾

          「犬は家族」 と普段から言っている女の子が デート中にふと 「犬のエサ」 という言葉を使った。 俺は 矛盾を抱えている人が好きで そういう理不尽が 人の美しさや 魅力なのだと いつも思っている。 だが、 これは違う。

          高慢ベイベー

           彼女は  いばってた。  すごく  いばってて、  いつも  俺を  下に見ようとしてた。  俺が何か言えば  すぐに反論した。  俺が何かしようとすれば  いつだって  俺のやり方を馬鹿にした。  俺が泊まろうとする  ホテルは  彼女いわく絶対ださかった。  俺が旅行しようとする  国は、  絶対につまらないと彼女は言った。  とにかく、  俺のことを  一から十まで見下してた。  だが、  蛍光灯の交換も  自分じゃできなかった。

          高慢ベイベー

          雑記1

           昨夜、私は月に照らされた夜道を歩いていた。特に用事があって歩いていたわけではなく、強いて言うならば、一日中机に張り付くようにして仕事をしていたものだから運動不足の解消にと、携帯端末を使う戯れにおいてちょっとした獣を捕まえる為に使用される紅白模様の球(青白のものも、黒白のものもあるが、それはここでは大した問題ではなあるまい)を集めるべく夜更けの散歩に出たわけである。  私の住まう辺りはまずまずの田舎で、控えめに言って絶望的にクソつまらないわけなのだけれど、隣駅よりもややマシ

          雑記1