覚書
これは寛解の途上にいる私への覚書だ。
これを読んでいるということは、何かしらの回路が作動して自己嫌悪、もしくは希死念慮に苛まれているのであろう。
仕方ない。ここはそういう雰囲気がまとわりついてる場所だ。
現に私もここで立ち往生している。お揃いだな。
そんなお前への救済の道標となるような文章をここに書き記しておく。よく読むように。
まず、お前には2つの不要な機能が植え付けられている。それは「自己嫌悪」と「希死念慮」だ。なぜ、そんな不必要な機能が植え付けられているのかって?それは今のお前が一番分かっているんじゃないか?じゃあ、ここでわざわざ書く必要はないだろう。無駄な文章は省くべきだ。
そんなお前に質問だ。
お前にそんな機能を植え付けた人間たちはどこに行った?
答えはわかるだろう。お前の目の前にはもういないはずだ。
それは、過去の私が全てを振り切って逃走した成果だ。しかし、その成果をお前はまだ充分に享受できてない。
何故なら、お前はまだ自分の足で立って歩くことができないからだ。
この表現が一番分かりやすいだろう?
なんたって、私はお前だからな。一番伝わりやすい表現を的確に選ぶことができる。私に感謝するんだな。
なぜお前は自分の足で立つことができないのか。
そんなことは簡単だ。本来、責任を負わなければいけない人間が、自分の幸福を追求し責任を放棄して逃げたからだ。
お前は無理矢理責任を負わされたに過ぎない。あまりにも可哀想な私。アハハ、涙が止まらないね。
ここで、お前に1つ目のアドバイスだ。
「そんな責任をお前が代わりに負う必要はない。」
本当はわかっているはずだ。「こんな理不尽なことに無理やり立ち向かう意味はない。ここですべて捨てて逃げ去ってもいい。」ということを。ただ誰も言わないだけだ。
だから私がここでお前に伝えた。ただそれだけのこと。
ここでいう「逃げ去る」の意味はあえて伝えない。
私はお前がどんな選択をしても、その選択を肯定するからだ。
お前も常日頃から他人に同じこと言っているだろう?バカなやつだ。そんな言葉をかけても、誰もお前を助けてはくれないぞ。
お前はもう学んでいるはずだ。なぜ気が付かない?
他人を失うのが怖いか?
お前の優しさだけを奪い取る盗人がいなくなるのが怖いのか?
バカバカしい。いい加減気がつけ。
お前の無意味な回路が作動する原因はそれだ。
お前がそれを辞めない限り、その回路は凍結することなく常に作動し続けるだろう。
そんなお前に2つ目のアドバイスだ。
「他人はお前の優しさを踏みにじる。」
本当は全てわかってるはずだ。
私に電話をかけてくるあいつも、私のことを愛そうとしてた奴も、お前に都合のいい言葉並べるあの女も、お前を産み落とした奴らも、全部お前の優しさを搾取しようとしてるだけだ。
お前を都合の良い存在にしてるだけだ。
そんなものに依存しても自我が壊れるだけだ。これ以上壊してどうするんだ?
多分お前は疑問に思ってるだろうな。
「なんでそんな事を書くんだ?」って。
私は他人じゃない、過去のお前だ。
少なくとも、お前と同じ過去を歩んできてる人間なんだ。ただ一つ違うのは、回路が作動してない状態ってだけだ。
少し考えれば気がつくだろう?
やっぱり回路が作動してる状態ってのは良くないな。お前は早くそれを焼き切るべきだ。
まあ、それが出来ていたらこんな文章は読んでないだろう。私だってこんな物を書く必要はないしな。
さて、ここまで来たらお前はもう気がついただろう。
回路はある程度停止しているはずだ。
起きろ。お前にはまだやることがある。
この旅を終わらせなきゃいけないはずだ。
まだ起きれないって?
じゃあ、今の私みたいにこうやって文字に書き起こすんだな。
そうすれば、少しはマシになるだろうよ。
少なくとも私は、この文章を書いたおかげてまた立ち上がることができた。お前も同じようにすると良い。
それでもダメだったときは?
そんな事を考える必要はない。答えはもう書いた。
お前は私なんだ。すぐに分かるだろう。
それに、お前が書いた文章は役立つかもしれない。
この覚書みたいにね。
じゃあ、私は先に行く。
こんな高架下にいても良いことはないぞ。
立ち往生してないで、早く先に進むんだな。